目次
- 石原慎太郎 国会質疑 論点整理
- 0. 冒頭 ―― 問題意識の設定(我欲・退廃・遺言)
- 1. 現行憲法 ―― 無効・廃棄論
- 2. 自主防衛 ―― 「自分で自分を守れない国は滅びる」
- 3. 天皇論 ―― 象徴の具体的意味=プリーストキング
- 4. 靖国参拝 ―― 「首相は行くな、天皇に親拝を」
- 5. 尖閣諸島 ―― 「実効支配」の実態を問う
- 6. 対中軍事 ―― 「冷静かつ毅然」の中身
- 7. ミサイル防衛・集団的自衛権・防衛費 ―― 体制の欠陥是正
- 8. 先端技術兵器 ―― 「人が持っていない刀」を持て
- 9. 横田基地 ―― 返還・軍民共用
- 10. NLP(夜間離発着訓練)― 三宅島活用論
- 11. 国家会計制度 ―― 単式簿記から複式簿記・発生主義へ
- 12. 経済 ―― 円高・デフレ・だぶつく資産
- 13. 環境問題 ―― 遺言としての締めくくり
- 全体を貫く石原の論理構造(骨子のまとめ)
石原慎太郎 国会質疑 論点整理
場面:衆議院予算委員会。石原慎太郎委員の質疑に、安倍晋三内閣総理大臣、麻生太郎副総理兼財務大臣、太田国土交通大臣、小野寺防衛大臣が答弁。石原にとって「十八年ぶり」の国会復帰であり、本人は**この質疑を「国民への遺言」**と位置づけている。
以下、石原の主張と論理の骨子を主題ブロックごとに整理する。各ブロックは【主張】【論拠・逸話】【政府答弁】【含意】で構成する。
- 0. 冒頭 ―― 問題意識の設定(我欲・退廃・遺言)
- 1. 現行憲法 ―― 無効・廃棄論
- 2. 自主防衛 ―― 「自分で自分を守れない国は滅びる」
- 3. 天皇論 ―― 象徴の具体的意味=プリーストキング
- 4. 靖国参拝 ―― 「首相は行くな、天皇に親拝を」
- 5. 尖閣諸島 ―― 「実効支配」の実態を問う
- 6. 対中軍事 ―― 「冷静かつ毅然」の中身
- 7. ミサイル防衛・集団的自衛権・防衛費 ―― 体制の欠陥是正
- 8. 先端技術兵器 ―― 「人が持っていない刀」を持て
- 9. 横田基地 ―― 返還・軍民共用
- 10. NLP(夜間離発着訓練)― 三宅島活用論
- 11. 国家会計制度 ―― 単式簿記から複式簿記・発生主義へ
- 12. 経済 ―― 円高・デフレ・だぶつく資産
- 13. 環境問題 ―― 遺言としての締めくくり
- 全体を貫く石原の論理構造(骨子のまとめ)
0. 冒頭 ―― 問題意識の設定(我欲・退廃・遺言)
【主張】 今の日本は「かくまでも醜き国」に成り果てた。国民は我欲に走り、政治家はそれにこびてポピュリズムに走っている。この根本的な国家の退廃を正すのが質疑の目的である。
【論拠・逸話】
- 靖国神社で聞いた、九十を超えた戦争未亡人の歌:「かくまでも醜き国になりたれば捧げし人のただに惜しまる」。夫を戦争で亡くし、遺族として生き抜いた女性が、今の日本を眺めて「捧げた夫がただ惜しまれる」と詠んだ。この歌への強い共感が国会復帰(「暴走老人」としての挙)の最大の動機。
- 我欲の象徴例:東京発の年金不正受給事件。四十年前に死んだ父を葬式もせず隠しミイラにし、数十年間その年金を詐取。政府はその件数を公表しなかった。
- 対外的には、日本はもはや羨望の対象ではなく侮蔑の対象。北朝鮮に数十人〜二百人近くが拉致され、殺された者もいるのに取り戻せない。
【含意】 以降の全論点(憲法・防衛・尖閣・会計・環境)は、この「自分で自分を律せない・守れない国」という退廃認識から派生する。愛称「暴走老人」は田中真紀子の命名を本人が気に入って自称。
1. 現行憲法 ―― 無効・廃棄論
【主張】 現行憲法は戦勝国が敗戦国統治のために強引に作った即製の基本法であり、独立回復後もこれが存続している事例は歴史上ない。日本の最高指導者たる総理大臣が「これを認めない、廃棄する」と宣言したとき、それを法的に阻む根拠はどこにもない。憲法をできるだけ早期に、大幅に、日本人自身のものへ変えるべきだ。
【論拠・逸話】
- 制定過程の押しつけ性(安倍答弁と共有):昭和二十一年、占領下でマッカーサー試案が作られ、それが毎日新聞にスクープされ、激怒したマッカーサーがホイットニーに命じ、ホイットニーが2月4日に民政局次長ケーディスに命じ、2月12日までにと期限を切って約8日間で作らせたのが原案。
- 歴史の原理:人間社会の規範は人間の歴史の原理に規制される。勝者が一方的に押しつけた法が独立国に数十年残る例を歴史に見たことがない。
- 白洲次郎の証言:吉田茂の側近・白洲次郎が「吉田先生は立派だったが一つ大きな間違いをした。サンフランシスコ条約締結のとき、なぜあの憲法を廃棄しなかったのか」と語った。麻生副総理にも安倍と共にこの問題を考えるよう促す。
- ニューヨーク・タイムズ社説の対比(村松剛が持ち帰ったコピー):ドイツ降伏時は「民族は優秀、ナチスに道を誤らされた。速やかに立派な国を作るため協力する」と好意的。日本降伏時は「巨大なナマズの化け物が牙を抜かれる」絵で「醜く危険な化け物はまだ生きている、世界とアメリカ自身のため徹底解体せねば」と敵意。この差の根底には白人のエゴイズム・人種差別による偏見がある。
- 日本近世(江戸)の成熟論:トインビーが「日本の近代化は世界史の奇跡」と言ったのは、日本近世への無知の裏返し。江戸の成熟があったからこそ有色人種で唯一近代化できた。関孝和が微分積分をライプニッツより50年、ニュートンより80年早く発明。堂島の商人が先物・デリバティブ・為替という抽象経済をイギリス人より先に始めた。有色人種が列強に伍する近代国家を作ったことが白人には「いまいましく許せない」――その偏見の上にNYT社説と現憲法がある。
- 前文の文章批判:議員で精読した者はいるのか。前文は醜い。「この憲法を確定する」は日本語なら「制定」。「恐怖と欠乏から免かれ」は助詞の常道からいえば「恐怖と欠乏を免がれ」。日本語の体をなさない、英文和訳なら70点もいかない代物。この文章が吉本隆明の言う「絶対平和という共同幻想」を醸成し日本をだめにした。
【政府答弁(安倍)】 制定経緯(マッカーサー試案→スクープ→ホイットニー→ケーディス、8日間で作成)を石原と同じ事実認識として確認。廃棄宣言の可否そのものへの直接回答はなし。
【含意】 石原の狙いは、憲法を「法的に廃棄可能なもの」と首相に確認させ、改憲の心理的・論理的ハードルを下げること。全面協力を約束している。
2. 自主防衛 ―― 「自分で自分を守れない国は滅びる」
【主張】 北朝鮮の核開発が進み(核実験=地震で検証)、日本周辺の状況が悪化している。憲法の破棄・改正を含め、この国を自分自身で守り切る基本的法体制を作る必要がある。
【論拠・逸話】
- 中川昭一のエピソード:盟友・中川一郎の息子・中川昭一が「日本もそろそろ核のシミュレーションぐらいしたら」と言ったら、米国務長官ライスが慌てて飛来し慰撫した。日本が自主防衛に踏み込むことへの米国の警戒を示す例。
- トインビー「歴史の研究」:いかなる大国も衰亡・滅亡する。衰弱要因の多くは自覚・対処可能な可逆的なものだが、最も厄介で滅亡に直結するのは「自分で自分のことを決められなかった国は速やかに滅びる」こと。国防を傭兵に任せたローマ帝国の滅亡を例に挙げている。総理・国会議員・国民に思い直してほしい。
【含意】 憲法論と防衛論を接続する論理的支柱。核についても「保有」ではなく、まず自主的な判断・体制の必要を訴える布石(後の技術兵器論に接続)。
3. 天皇論 ―― 象徴の具体的意味=プリーストキング
【主張】 第一条の「象徴」とは政治的権力・権威の象徴ではない。天皇は現今世界で唯一のプリーストキング(祭司王)=神道の大司祭であり、日本の感性とそれがもたらした文化の象徴である。
【論拠・逸話】
- 神道は普通の宗教とは違う。カントの言う「理性を超えた人間の崇高な属性・感性・情念」の結晶。
- カトリック教徒の曽野綾子が伊勢神宮で「これが日本だ」と自覚したとエッセイに書いた。
- アンドレ・マルローが那智(新宮)で鳥居をくぐって後ずさりし「この宮の神体はあの滝だ」と鳥居の中に滝を収めて感心した ―― 人間の国境を越えた感性が神道という形で結晶している証。
【政府答弁(安倍)】 象徴とは、権力を持つ存在ではなく、日本の長い歴史・伝統・文化と日本国民を象徴する存在。
【石原の評価】 「大まか、まさに正しい」。政治的権力・権威の象徴ではない点で一致。これを踏まえて次の靖国論へ展開。
4. 靖国参拝 ―― 「首相は行くな、天皇に親拝を」
【主張】 総理は靖国に行かなくてよい(行くと必ず政治問題になる)。その代わり、国民を代表して、神道の祭司たる天皇陛下に靖国参拝(親拝)していただくよう総理から奏上・お願いしてほしい。
【論拠・逸話】
- 天皇の親拝は政治的行為でも宗教問題でもなく文化的行為。祭司が戦没者を悼み参るのは当然で、異議を唱える国はない。戦争の肯定にも否定にもならない。
- 東京裁判史観への批判:日本人はニュルンベルクと同じく「戦勝国が敗者を裁いただけ」の東京裁判史観に囚われている。だがマッカーサー自身が米議会で「あの戦争は日本にとって自衛の戦争だった」と証言した。
- アジア独立の証言:高碕達之助の紹介で会ったエジプトのナセル大統領、インドネシアのスカルノ大統領がともに「我々が独立できたのは第三次世界大戦(=独立戦争)に勝ったおかげ、それができたのは日本のおかげ」と語った。日本の戦争が世界を変え、有色人種の国が国連で一票を投じる資格を得た。
- したがって靖国参拝が政治的に解釈され戦争の価値観論争に絡むならやめればよい。純粋に祭司=天皇による慰霊として行うべき。
【政府答弁(安倍)】
- 首相自身の参拝の有無は、いたずらに外交・政治問題化したくないので「言わない」ことにしている。国のために命をかけた英霊への尊崇の念を表するのは当然。
- 天皇の御親拝について「私が云々する立場ではない」。
- 補強として、ジョージタウン大学のケビン・ドーク学部長(カトリック)の論文を引用:米国で南軍・北軍の兵士がともに埋葬される地に大統領が参拝しても、奴隷制維持への賛成ではなく、国のために命をかけた人々への敬意の表明でしかない ―― 自分もそのとおりと思う。
【含意】 石原は靖国問題を「政治・外交」の土俵から「文化・祭祀」の土俵へ移し替えることで、天皇親拝という形での慰霊の正統化を図っている。
5. 尖閣諸島 ―― 「実効支配」の実態を問う
5-1. 実効支配の中身
【主張】 「実効支配」という勇ましい言葉の具体的実態は何か。今日本がやっていることは、とても実効支配とは言えない。
【政府答弁(安倍)】 尖閣は歴史的にも法的にも固有の領土で、日本が有効に支配。尖閣から12海里の領海を海上保安庁の船が管理し、接続水域も管理している。
5-2. 灯台の歴史 ―― 実効支配を体現する象徴物
【論拠・逸話】
- 鄧小平の棚上げ論:来日した鄧小平が尖閣問題を「厄介なので棚上げにしましょう」と言い、日本の特に外務省が相好を崩して同調し今日に至った。
- 青嵐会の灯台:石原ら青嵐会は反発し、拠金して関西の学生(冒険部)にちゃちな灯台(バッテリーにポール、電球に傘)を作らせた。避難・風待ちの漁船が翌日それを頼りに感謝し、学生は「国家・民族を感じた」と報告。
- 青年社の灯台:右翼と蔑称される政治団体・青年社が、古賀氏の鰹節工場用の細い水路のたもとに立派な灯台を建設。青年社の沖縄支部長が疲労死する犠牲まで払った。石原はこれを多とする。
【政府答弁(安倍)】 灯台はかなり昔の話だが、近くを通る人に有益だと聞いたことがある。
5-3. 海図記載を阻んだ外務省
【論拠・逸話】
- 石原は運輸大臣経験を活かし、旧運輸省水路部に灯台の海図(チャート)記載を依頼。指摘された3点の不備を追加出費で満たし、水路部が「結構」と言った。
- ところが外務省が「時期尚早」として海図記載に待ったをかけた。正式な灯台を正式に海図に載せないことが実効支配と言えるのか。
- その20年後、息子(石原伸晃)が国交大臣のとき厳命し、国交省(保安庁水路部)が「日本国が作った」ことを示すプレートを灯台に貼付。コピーも保有。当然の措置。
- ウォルフォウィッツの同情:後述の横田問題で訪米し国防総省副長官ウォルフォウィッツに会った際、この件を話すと、小舟を操る彼が「きちんとした発光物が海図に記載されていないのは非常に危険だ」と逆に同情した。
【政府答弁(安倍)】 海図記載の有無は詳らかに承知しておらず、そうした事実があるか確認してみたい。
5-4. 魚釣島頂上への灯台と船だまり構想
【主張】
- 現在の灯台は鰹節工場アプローチ用で場所が悪く、周囲は暗礁が多く海流も速い危険水域。魚釣島(最大の島)の頂上に、八方から見える灯台を作るべき。日本の漁民だけでなく全世界の航行者のメリットになる。
- 零細漁民のための船だまり:石垣の漁民は乗員2〜3人の小舟で、しけの際に燃料が尽きて帰れなくなる。対してシナ・香港・台湾の船は20〜30人乗りの大型船で1〜2晩の風待ちも平気。黒潮が湧き上がる豊穣な高級漁場で、彼らが来て乱獲し、日本の延縄を切り獲物まで盗む。だから、港とは言わずとも「この部屋の半分」ほどの、数隻が岸からもやいを取って1〜2晩過ごせる船だまりを作ってほしい。
5-5. 東京都購入構想 vs 野田政権の国有化
【論拠・逸話】
- らちが明かないので石原が「東京都で買う」と言い出したら忽ち拠金が集まり、今も基金として積んである。安倍内閣でこの金を有効に使い国民の期待に応えてほしい。
- 野田政権との会談:野田前総理が話したいと言い、石原の仲間・園田議員(野田と交友)に立ち会いを頼んで会談。だが実は国はとっくに札びらで持ち主から島を買い取っていた(=石原は騙されていた)と見る。
- 会談での要望=(1)灯台建設 (2)船だまり。園田は「軍隊を置けと言い出すのでは」とはらはらしたが、この程度なら聞いたらどうかと取りなした。野田は渋面で「ステップ・バイ・ステップ」と言い、最初のステップが「太陽パネルを持っていく」。灯台を作らねば太陽パネルで発電しても意味がない、とわけの分からぬ会合が終わり、その後国が買い取って今のていたらく。
- 東京都購入+自治体連携論:東京が買い、沖縄県・石垣市と組んで事業を始めていれば、シナは「地方自治体の事業」に文句のつけようがなかったはず。国対国の問題にしたからいちゃもんをつけられ変な関係になった。
5-6. 灯台の戦略的意味(北方領土の教訓)
【論拠・逸話】 北方四島問題で、社会党の議員がモスクワで「貝殻島は危険なので灯台を作ってもらえば安全に操業できる」と言い、ロシアがちゃちな灯台を作った。すると「灯台を作ったから自国領土」として貝殻島〜納沙布岬間に国境線を引かれ、そこが国境になってしまった。灯台は領有・実効支配を体現する重い意味を持つ。ゆえに実効支配を具体的に表現するため灯台建設を熱願する(この項は答弁不要と明言)。
6. 対中軍事 ―― 「冷静かつ毅然」の中身
6-1. 「冷静」の定義
【主張】 国民は「冷静に毅然と対応してほしい」と望む。冷静とは何か。
【政府答弁(安倍)】 「正常な判断力を備えながら対応していく態度」。
【石原】 そのとおり。大きな紛争・軍事行動につながる条件についても冷静に情報を取り判断するのが政府の責任であり、それが毅然たる態度を導く最良の術。
6-2. 防衛省内局(文官)批判と現場の声
【主張】 防衛省内局(文官)のヒアリングは全部だめ、甘く要領を得ない。飛行機にも船にも乗らず訓練もしたことのない文官がペーパー上でなぞる報告は、一旦緩急のときの毅然たる態度を導く情報にならない。現職自衛官やごく近いOB(実際に戦闘機に乗りドッグファイトを経験した軍人)の意見を聞け。
6-3. 戦力比較 ―― 過大評価された中国軍
【論拠・逸話】
- 戦闘機:中国が誇示するロシア製スホーイは、ロシアがインドに渡したものと中国に渡したもので性能が大きく違う(ロシアは中国を嫌い、ろくな機を与えていない)。一方、日本のF15改良型は、中曽根時代に次期支援戦闘機の優秀機開発を米が妨害し泣く泣く降りた代わりに、日米共同改良した特殊なF15。中国・インドがもらった機との性能差は銘記すべき。
- 尖閣占領の非合理:仮に軍事紛争で中国が尖閣を占領して何になるか。日本が無謀に占領したガダルカナルと同じ。ロジスティック(兵站)が続かず、その海上輸送能力もない。
- 中国海軍の実力=過大評価・幻想。丹羽大使や、ぺこぺこして頭をなでられて帰ってきた政党を批判。
- 空母(遼寧)揶揄:ロシアが持て余しスクラップで売りに出したものを15億円で購入。エンジンが動かず、ロシアの古い巡洋艦のエンジン2基を付けたがよく動かない。16ノットしか出なければ艦載機は発着できない。水兵200人を赤白ユニフォームで並べた閲兵写真は世界中の物笑い。海上の覇権など不可能。
- 日本の優位:日本の海上自衛隊の対潜能力は世界一。ゆえに尖閣周辺紛争で中国が制空権・制海権を持つことは絶対にない(ただし「これから先はわからない」)。
- シーレーンの脆弱性:中国は膨大な経済国だが、広大な面積・大需要を支えるエネルギー・資材の海上シーレーンを今の状態で保持できない。できないと知りながら愚かな挑発をしている。
6-4. 「鯉口を切る」=毅然の作法
【主張】 毅然とした態度とは「パチンと鯉口を切る」こと。刀を抜くのは馬鹿。だが昔の侍のように「寄らば切るぞ」と鯉口を切る。それくらいの決心をしないと、国民の「冷静かつ毅然と」という要望に応えられない。
【政府答弁(安倍)】
- 「私は常に鯉口を切っているような印象を与えているかもしれない」と受けつつ、尖閣は固有の領土で交渉の対象ではなく、断固として領土・領海・領空を守る決意を示すことが大切。「実効支配を揺るがせるかもしれない」と相手国に思わせてはならない。
- 具体策として、来年度予算で約11年ぶりに防衛予算を増額、兵員を約20年ぶりに実増、海上保安庁も強化。相手につけ込む隙を与えない備えを固める。
7. ミサイル防衛・集団的自衛権・防衛費 ―― 体制の欠陥是正
【主張】
- 迎撃能力の不足:日本の迎撃ミサイル数と相手の保有数の差は大きい。一度に20〜30発撃ち込まれれば半分は撃ち落とせても半分は落とせない。深刻に考えるべき。
- ただしミサイルの弾頭は通常爆弾であり、国会議事堂に当たっても全壊させる破壊力はない。それが核戦争を誘発することはあり得ないし、あってはならず、中国もそこまで愚かではない。
- 日米防衛関係の強化と集団的自衛権:日本がどんどん孤立する軍事行動の中で、集団的自衛権は当然表示・実行すべき。でないと日本は孤立し疎まれる。「荒神山の戦い」で一人逃げて刀に刃こぼれもなかった神戸長吉のようになるぞ。
- 危機感の可視化(皇居防衛):都知事時代、北朝鮮ノドン対策で地対空ミサイルを東京配備する際、まず皇居を守るため「一番目につく皇居前広場に置け」と主張したが、防衛庁は「目立たぬよう日比谷公園に」と言った。国民が危機感を持つためにも目立つ場所に置くべきだった。
- 向こう10年の優位:ミサイル整備を含め、今後10年は通常兵器の戦闘で中国に劣らない ―― 日本の専門家、現役軍人、米DIA、情報最強のイスラエル・モサドに聞いても評価は変わらない。ただし10年後はわからない。だからこそ防衛費を大幅増額する必要がある。
- 三木武夫批判:三木元首相が武器輸出禁止原則を作り、根拠なく防衛費を総予算の1%以内に抑えた。論拠のないセンチメントが国是同然にまかり通る現実は世界に例がない。これを変えるのが安倍総理・麻生副総理の責任。
8. 先端技術兵器 ―― 「人が持っていない刀」を持て
【主張】 日本は新しい素晴らしい技術を持つ。核保有と違って顰蹙を買わない**通常弾頭の超高精度戦略兵器(コンベンショナル・ストライク・ミサイル=CSM)**を、日本のイニシアチブで開発すべき。「寄らば切るぞ」の刀としてまず持たねばならない。
【論拠・逸話】
- ノーベル賞の信憑性:平和賞・経済学賞は政治的でいい加減(オバマは「核なき世界」で受賞3か月後に新型核シミュレーション、米ノーベル経済学者の会社が5〜6社潰れた)。だが自然科学分野は信憑性が高く、21世紀以降の日本の自然科学系受賞数は全ヨーロッパに匹敵する ―― 大きな国力。
- 「はやぶさ」:小さな町工場が寄り集まって作り、40億キロ飛んで帰り、数年遅れでアウトソーシングして戻ってきた。こんな技術を持つ国は世界にない。
- CSMの仕組み:一旦宇宙に消え、正確なGPSで戻る。2000km離れた標的でも「水差しに爆弾を当てる」ほどの精度。米が着手済みだが、最も進んだポテンシャルを持つのは日本。ただしGPSは全て米国依存なので日本独自のシステムを作る必要がある。比喩=アメフトの混戦でQBへのバックパス→ロングスロー→前を走るフォワードがタッチダウン。
- 発進基地=南鳥島:日本で唯一適地。自衛隊駐在中だが島が小さくランウェイ不足。ジェットの滑走路と大型船の着く港を整備すれば格好の発進地になる。閣僚を視察に行かせよ。
- リビア・カダフィの先例:核保有を言い出したカダフィに対し、米は英空軍基地から数機編隊で発進(フランスが領空通過を拒み、ジブラルタル海峡を迂回)。当時のGPS精度でカダフィ居住区を6〜8のメッシュに区切り徹底爆撃。一つのメッシュに第三夫人がおり子供2人が爆死、カダフィは核保有を卒然と断念。ピンポイントで要衝にとどめを刺す兵器の抑止力を示す例。
【政府答弁(麻生)】 「はやぶさ」の内容をそこそこ知る程度と断りつつ、はやぶさ帰還時、その内容の詳しい説明を最初に求めてきたのは米国陸軍省だったのは事実、と証言。
【石原】 だからこそ、むざむざ米に渡さず、米のお墨付きも不要、日本のイニシアチブで作れ。それが対米交渉の力にもなる。
9. 横田基地 ―― 返還・軍民共用
【主張】 東京のど真ん中にある横田基地を返還、少なくとも軍民共用にせよ。あと5年で日本の国際線はパンクし、国力の衰退につながる。総理の責任で各省連帯・ナショナルイシューとして再登録し、共同利用を取りつけてほしい。
【論拠・逸話】
- 空域の弊害(模型で提示):かつての米軍空域(模型の黒い部分)のため、東京から西(大阪・福岡・ソウル)行きは一車線往復しか飛べず、正面衝突しかけて乗務員1人が急上昇・急降下で死亡。抗議してやっと開けて二車線往復に。予備地を入れれば4000mの滑走路が2本作れるのに使わせない。欧州帰りの日本機は横田上空を通れず、一旦太平洋に出て戻らないと成田・羽田に着けない。
- ワールドカップの舗装工事:森政権時の日韓W杯で、CIQ検査なしに横田を日韓共用しようとしたら、米は突然「向こう50年対応の舗装工事を始めろ」と言い、日本の国費でほとんど使わない滑走路を改修させた。
- 返還運動の経緯:代議士時代から取り組み、社会党の土井たか子委員長・国対委員長の村山富市(トンちゃん)に基地の存在を教え視察させた。金丸が自民党を仕切っていた頃に問題化を頼んだが「時期尚早」で打ち切られた。知事就任後も遅々として進まず、毎年日米シンポジウムを開催。米側(前日本部長ジアラ、前総司令官フォール大将ら)はむしろ同情的で「これは余計だ、考えよう」と来てくれた。空軍だけは自分の持ち物ゆえ渡したくないが。
- 外務省批判(核心):シンポジウム前日、外務省北米局長がジアラとフォール大将を呼びつけ「横田問題は日本の国家イシューではない、小泉のときは問題にしたかもしれないが今は違う、考えて発言しろ」と圧力をかけた。当時外務省だけシンポジウムに代表を送らず「一地方の行事に国が参加する必要はない」と。石原は前原外相の大臣室で北米局長を面罵(「きさまはどこの国の役人だ」)。論拠もなく国のイシューでないと言う外務省の体質を変えよと外相に迫る(言い間違いを自ら訂正しつつ)。
- 横田の実際の重要度:米公文書では、在日米空軍基地で致命的に重要なのは三沢・岩国・嘉手納の三つのみ。横田は単なるロジスティックベースで、最も使われたのはベトナム戦争の戦死者遺体の整復・送還作業場(大江健三郎「死者の奢り」に描かれた)。今は数機の輸送機・ヘリのみで、滑走路末端に地下道もなく青赤信号で行き来するのんびりした使用密度。
- ビジネスジェット共用:米商工会議所会頭トム・ドナヒュー(友人・共和党支持)が「日本にはシナ以上に大きなビジネスがあるのにビジネス機が飛べず2か月前申請が要る」と嘆く。せめてビジネスジェットの発着だけでも共同使用し、富裕な利用客はヘリで都心へ。本題は返還だが、その最初のステップとして。オバマ再選でドナヒューの動向は不透明。
- 羽田4本目滑走路の実績:知事として危機感を持ち、亀井静香(当時自民党政調会長)と組んで国交省を恫喝し4本目滑走路を早期実現。利権(工法:メガフロートvs埋め立てvs桟橋、結局半分桟橋)で1年遅れたが、多摩川に桟橋をかけるのは旧建設省なら不可能で、内閣再編(国交省化)の成果。それでも需要(乗り入れ希望30数か国)に追いつかない。
【政府答弁(安倍)】
- 横田は在日米軍司令部が置かれ有事の兵站機能を担うため、米側が返還・軍民共用に簡単には応じない。
- ただし小泉政権時、当時の石原知事の要請を受け、官房副長官だった自分がクロフォードの小泉・ブッシュ首脳会談に陪席し、紙を出して軍民共有等の日本側の考えを先方に提示した。残念ながら今日まで成果は出ていない。米国側も受け入れられる形で何ができるか考えたい。
【政府答弁(太田国交相)】 空域のさらなる返還について、さらに調整していきたい。
10. NLP(夜間離発着訓練)― 三宅島活用論
【主張】 米第七艦隊の艦載機のNLP(ナイト・ランディング・プラクティス)を、岩国ではなく三宅島で行うべき。日米双方にとって良いこと。役人が決めたことを政治家のリーダーシップで柔軟に見直せ。
【論拠・逸話】
- NLPは元々三宅島(石原の選挙区)に予定されたが、青嵐会仲間の政調会長・藤尾が権柄ずくで「作ってやる」的態度を取り島民が反発、住民投票で僅差敗北。
- 三宅島は十数年ごとに噴火する厄介な島で今も疲弊しているが、噴火でできた溶岩台地を使えば簡単に滑走路ができ、周囲は海で空母のよう。
- 知事就任直後の三宅島災害時、旧知のベーカー駐日大使をヘリでピクニックに招き見せると「絶好じゃないか、何でできないんだ」と喜んだ(=日本政府次第)。
- 三宅なら騒音被害のない地形があり、横須賀基地から飛べば燃料も食わない。艦載機整備要員は全員日本人で、遠い岩国の田舎に行きたくない(家族も厚木周辺在住)。硫黄島でのNLPのような無駄な支出も不要。なぜ岩国に固執するのか分からない。島の救済にもなる。
【政府答弁(安倍)】 岩国は米軍再編・沖縄負担軽減の一環で、厚木からの空母艦載機59機と普天間の空中給油機12機を受け入れる。ただし地域はNLPを絶対に困ると強く要請しており、硫黄島の暫定実施をどうするかは検討が必要。
【政府答弁(小野寺防衛相)】 岩国移転は総理答弁のとおり。NLPは現在、防衛省として馬毛島を中心に調査中。
11. 国家会計制度 ―― 単式簿記から複式簿記・発生主義へ
【主張】 日本の国家会計制度は明治以来の単式簿記(現金主義)=大福帳のままで、健全なバランスシートも財務諸表もない。これを企業並みに複式簿記・発生主義へ一新しないと、役人天国のままこの国はもたず、アベノミクスのバリア(障壁)になる。専門家を交えた特別委員会を作って合理化せよ。
【論拠・逸話】
- 歴史:明治12〜18年は福沢諭吉提唱で一種の複式簿記だった。ところが明治20年、岩倉具視視察団がドイツでビスマルクに会い「後発国が先進国を目指すには、国民を由らせよ、知らしむべからず(民は由らしむべし、知らしむべからず)」と言われ、一番見えにくい単式簿記を明治会計法として採用。以後全く変わらない。
- 国際比較(石原の主張):こんな単式簿記の国は北朝鮮、パプアニューギニア、フィリピンぐらい(マレーシアは最近変えた)。
- 東京都の成功例:都議会の東村議員(優秀な公認会計士出身)が周囲・自民党を説得し、日本公認会計士協会会長・中地氏(石原と同年)が機能的なバランスシート方式を作り、発生主義・複式簿記化を実現。同時に外部監査(公認会計士)を導入し、大小の無駄が判明して財政再建の大きなよすがになった。国はなぜ外部監査を入れないのか。
- 経済界も無知:豊田章一郎に話すと「そんなばかな」、御手洗(前経団連会長)とある銀行頭取も「あり得ない」と否定したが、同席した前日銀総裁・福井俊彦が「実は石原さんの言うとおり、国はいまだに単式簿記」と言い二人が絶句。米倉(現経団連会長)も知らなかった。経済団体の雄たちが国の会計のずさんさを知らずにいた。
- 国際基準(FIAC/IFAC):会計処理の世界組織FIAC(フィアック)が2000年エジンバラで最新会計制度を決定。日本もこの新会計制度にすべきなのにしていない ―― 怠慢・疑問。
- 英国の例:英国は1994年から発生主義を採用、以来英国会議員は皆簿記を勉強。2年ごとに複数年度予算を組む。
- 単式簿記の弊害:金を使って売り上げを伸ばす発想がない。損益計算書に税収が載らず、収益を上げるための税金の使い方という発想が欠ける。
- 民主党マニフェスト8「会計制度を変え税金の使途を明確に」は良いことなので心に留めよ。
【政府答弁(麻生)】
- 国の予算・決算は現金主義を採用。発生主義・複式簿記は借方貸方の分からぬ人には意味不明で、確実性・客観性・透明性が即は出ない。ストックとフロー両面で分かりやすいのは現金主義。
- ただし平成15年から国も参考情報として財務書類(財務諸表)を作成しており、自分も見た。
- 海外比較(平成25年度調査):予算は日・米・仏・独いずれも現金主義、決算も議決対象は全て現金主義。財務諸表を作成しているのは日・米・英・仏で、ドイツだけ財務諸表すら作っていない。
- FIACのエジンバラ会計制度、新会計制度不採用の理由は「調べて返答する」。
- (後段の資産計上で補足)政府資産には徴税権・造幣権など評価困難なものがあり、各国とも予算段階で複式簿記計上ができない(英国からの伝聞)。道路や富士山、国有地をいくらで計算するかは簡単でない。
【石原の反論】 麻生答弁は実態と大分違う。知事時代の問い合わせに財務省は「平成15年度決算分(17年9月公表)から発生主義・複式簿記の企業会計の考え方を参考に財務書類を作成・公表」と回答した ―― その財務書類を資料として提出せよ。その上で具体的議論をしよう。新会計制度をいまだ使わないのは怠慢。次回、党内の公認会計士も交え特別委員会で精査したい。
【政府答弁(安倍)】 単式・複式の問題は財務大臣答弁のとおり、平成15年から国も財務書類を出していると承知。いずれにせよ(他委員会もあるので)委員会で議論してもらえれば。
12. 経済 ―― 円高・デフレ・だぶつく資産
12-1. 円高の構造要因
【主張】 円高にはそれなりのいわれがある。日本は国・地方合わせ約938兆〜1千兆近い債務(うち地方約200兆)を抱えるが、個人金融資産が1515兆もあり金がだぶついている。国債はほとんど銀行と国民が買っており、国のポケットから左のポケットに移るだけ。だから世界の通貨マーケットが円に期待するのは無理からぬこと(日本には迷惑だが)。
【論拠・逸話】
- ある新聞のトップリーダーの話:日銀は貨幣発行量を把握(10円銅貨・1万円札・2千円札の発行枚数など)。旧1万円札(聖徳太子)が2千億どこかに眠っている。
- ある人が「後ろめたく使いにくい」旧札160億(別の人は300億)を税理士に頼んで新円(福沢諭吉)に替えたいと相談したが、税理士が「蓄財は時効でも額が額だけに問題になるかも」と言ったら「じゃやめた」と。だぶついた金の使い道が見つからない。なぜ使い切れないのか。
【政府答弁(麻生)】
- 個人金融資産ほぼ1510兆は正しい。うち現預金が約800兆超。ほとんど金利がつかないのに金庫・貯金にたまり、不景気でもさらに増え続けている。
- 政府は銀行・郵貯経由で国債を売り、政府の借金がたまる一方で個人預金がたまる(貸方・借方の関係)。
- 戦後初のデフレ不況論:1992年から土地が暴落(百坪百万円→15万円、85%下落)、株は1989年から暴落(最高値38915円→一時7千円台)。国民資産が動産で3/4、不動産で85%下落。他国はインフレ不況しかなく、日本は戦後67年で世界初のデフレ不況を経験。日銀・大蔵・政府・学者に経験者ゼロで、歴史に学ぶしかない。直近の先例は1930年の高橋是清蔵相(犬養毅・斎藤実内閣)のみ。
- 過去20年対策は遅々。民主党3年+自民17年の経験を経て、安倍内閣は金融緩和・柔軟な財政出動・成長戦略の三つを同時に(高橋是清と同じ)実行。寝ている金を動かすのが最大の課題で、個人消費か民間設備投資でしか動かない。
【石原の反論】 金融緩和で日銀に金を刷らせ銀行に国債を買わせ抱えさせるだけでは全く意味がない。設備投資減税などでアクティブに経済が動くようにせよ。高橋是清の事務次官は賀屋興宣(石原が私淑)で、初めて統制経済をやった。デフレ不況の克服は難しいが頑張れ。
12-2. 資産と負債の一覧
【主張】 国・地方の債務総額は約948兆〜986兆近い。だが返す必要のない借金も、財産になるものもある。この債務に見合う資産の取得原価・時価の一覧表を参考に提出してほしい。
【政府答弁(麻生)】 政府資産には徴税権・造幣権など評価困難なものがあり複式簿記計上が難しい(各国同様、英国からの伝聞)。道路・富士山・国有地の評価も簡単でないが、かつて一応のものを作った経緯があるので現存すれば提出する。
【石原】 会計制度を企業並みに合理化・能率化しないとアベノミクスのバリアになる。総理、アベノミクス成功のため会計制度を一新すべき。
13. 環境問題 ―― 遺言としての締めくくり
【主張】 人間は欲望(象徴=経済=金)にうつつを抜かし、G8でも環境問題を深刻に討論してこなかった。子孫の生命を担保するため、日本の最高指導者が世界に正当な危機感を抱かせるスピーチをすべき。経済復興・デフレ克服も結構だが、それだけでは駄目だという警告をG8で発してほしい。
【論拠・逸話】
- ホーキングの予言:約40年前、よみうりホールでの講演(筋ジス発症、コンピューターで発話)。「宇宙に地球並みの文明を持つ星はいくつあるか」に言下に「200万(ツーミリオン)」。「ならなぜ宇宙人に出会わないのか」に「地球並みの文明を持つ惑星は自然の循環が悪化し、宇宙時間で瞬間的に生命が消滅する」と回答。石原が「宇宙時間の瞬間とは地球時間でどれくらいか」と問うと「百年」。あれから40年経った ―― 予言が正しければ地球はあと60年しかもたない。
- G8の停滞:過去3年、G8後に環境問題の進展を問われた政府スポークスマンは毎年「半歩前進」。3年で半歩は遅すぎる。
- 温暖化の実況:NASAのハンセン主任教授が「北極海の氷はあと20年で解ける」と言ってから7年。あと13〜4年で北極海が航路になるかもしれない。ヒマラヤの氷も解け、フランスのローヌ氷河は展望台から見えなくなった(100km上がらねば見えない、洪水で流れた)。解けた水が海に注ぎ、地球自転の遠心力で赤道直下の島々が埋没。
- ツバルの実見:知事時代に訪問。最高標高わずか5m、米が作った人工飛行場は半分水没、海水で主食のタロイモが作れず、オーストラリアの脂身の多い肉をもらって健康を害し、年寄りはマリファナを吸う「明るい地獄」。
- 異常気象は通常気象:ニューヨークのハリケーン、ワシントンの雪、日本の異変も当然で、異常気象ではなく通常気象。
- 東京の取り組み:世界に先んじてC40に加盟、企業にキャップ・アンド・トレード条例。だが「爪に火をともす」ような話。
- リンゴの木の言葉:友人・開高健が飲み屋に書いた色紙「あす地球が滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植える」。元はポーランド(マルティン・ルターに影響を受けた)の詩人ゲオルグの言葉。子孫への責任のささやかな履行。G8でこうした哲学を披露し、違う意識で全体が動かねば駄目だと警告せよ。
【政府答弁(安倍)】 2007年のハイリゲンダム・サミット(自分が出席)ではCO2削減が大テーマで「2050年までに排出量半減」の大目標で一致。今年のサミットでも環境は大テーマになる。日本はCO2削減・省エネの高い技術力を持つのでリードすべき。安倍政権も環境を極めて重視し、だからこそ石原伸晃議員を環境大臣に任命した。政府一丸で取り組む。
【締め】 石原「ありがとうございました」。
全体を貫く石原の論理構造(骨子のまとめ)
- 診断:日本は「自分で自分を律せず、守れず、正確に把握・記録できない国」に退廃した(我欲・ポピュリズム・侮蔑の対象)。
- 根本原因:占領期に押しつけられた現行憲法と、それが醸成した「絶対平和の共同幻想」。その背後には白人のエゴイズム・人種差別と、それを日本人が内面化した自縄自縛がある。
- **処方箋(自主性の回復)**は各分野で同型:
- 憲法 → 廃棄・全面改正(法的障害はない)
- 防衛 → 現場の声に基づく冷静な判断+「鯉口を切る」毅然、集団的自衛権、防衛費1%枠・武器輸出三原則の撤廃、日本独自の高精度兵器
- 尖閣 → 灯台・船だまりという「実効支配を体現する具体物」、自治体主導
- 天皇・靖国 → 政治の土俵から文化・祭祀の土俵へ移し、天皇親拝で慰霊を正統化
- 会計 → 「見えにくくする」単式簿記から複式簿記・発生主義へ(見える化=統治の近代化)
- 経済 → だぶつく1500兆を動かす能動策、資産・負債の可視化
- 環境 → 目先の経済を超え、子孫の生命という最も長い時間軸で世界をリードせよ
- 共通の敵:現状維持に安住し「時期尚早」「一地方の行事」と逃げる官僚機構(特に外務省・防衛省内局・財務省)と、根拠なき「国是」。政治家のリーダーシップで硬直(=役人の言う「継続性・一貫性」)を打破せよ。
- 通底する時間意識:これは「遺言」であり、戦争未亡人の歌からホーキングの「あと60年」まで、過去の犠牲と未来の子孫への責任という長い時間軸で現在の政治を裁いている。
本整理は提供された答弁全文に基づく。石原委員の主張・根拠(逸話・固有名詞を含む)・各大臣の答弁・含意を、原文の情報を欠落させないよう保持して構成した。数値・固有名詞は原文の発言どおりに記載しており、発言者の事実誤認(例:単式簿記採用国、氷河や国際会計基準に関する記述等)はそのまま石原の主張として収録している。