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2 埼玉県政

北海道で震度4 津波の心配なし

北海道震度4、「津波なし」の報に潜む国家の課題

先日、北海道東方沖を震源とする地震が発生し、道東の一部で震度4を観測した。幸いにも大きな被害の報告はなく、気象庁からは「津波の心配はない」との発表がなされた。多くの国民がこの報に胸をなでおろしたことだろう。しかし、我々はこの「安堵」で思考を停止してはならない。この程度の揺れは、我が国が常に直面している巨大災害のリスクから見れば、ほんの序章に過ぎないからだ。今回の地震を、保守の立場から国家の危機管理体制を再点検する好機と捉えるべきである。

「津波なし」は免罪符ではない

まず、最も警戒すべきは「津波の心配なし」という言葉がもたらす油断である。東日本大震災の悲劇を経験した我々にとって、津波の有無は地震報道における最大の関心事となった。だが、今回津波が発生しなかったのは、単に地震の規模やメカニズムによる偶然の結果に過ぎない。

北海道東方沖に横たわる千島海溝では、マグニチュード9クラスの巨大地震がいつ発生してもおかしくないと専門家は警告している。政府の被害想定では、最悪の場合、死者10万人という凄まじい数字が示されていることを忘れてはならない。今回の震度4は、その巨大なエネルギーがすぐ足元に存在することを改めて我々に突き付けた「警告」なのである。「津波がなくて良かった」と安心するのではなく、「次もそうだとは限らない」と兜の緒を締め直すことこそ、国民が持つべき真の防災意識であろう。

国土強靭化は国家存続のための必須事業

今回の地震は、改めて我が国のインフラの脆弱性について考える機会を与えた。震度4で交通やライフラインに大きな支障が出なかったことは当然としても、これが震度6強、7であった場合、広大で厳しい自然環境を持つ北海道のインフラは持ちこたえられるだろうか。

道路網が寸断されれば、集落は孤立し、救助も物資輸送も滞る。2018年の北海道胆振東部地震で発生した大規模停電(ブラックアウト)の記憶も新しい。電力網や通信網が途絶すれば、現代社会は機能不全に陥る。

こうした事態を防ぐために、政府が進める「国土強靭化」は極めて重要な国家事業である。一部にはこれを旧来型の公共事業と同一視し、無駄なバラマキと批判する声もあるが、それは平和な時代の空論に過ぎない。国民の生命と財産を守り、経済活動を維持するためのインフラ整備は、国家の根幹をなす安全保障政策そのものである。橋を架け、トンネルを掘り、堤防を築く。これらは未来の国民への責任ある投資であり、断固として推進されなければならない。

災害と安全保障は表裏一体

特に、北海道という土地が持つ地政学的な重要性を考えれば、防災は国防と不可分である。大規模災害は、国家の統治能力に一時的な空白を生み、安全保障上の脆弱性を露呈させる。周辺国との間に緊張を抱える我が国にとって、災害対応の遅れは国益を損なう事態に直結しかねない。

こうした有事に際して、最後の砦となるのが自衛隊である。災害派遣における彼らの献身的な活動は、国民から絶大な信頼を得ている。今回の地震でも、即応体制を維持し、情報収集にあたったはずだ。我々は自衛隊の存在に感謝するとともに、彼らがその能力を最大限に発揮できるような体制整備、すなわち防衛力の着実な強化を支持し続けなければならない。

今こそ「自助・共助・公助」の原点へ

最終的に国を守るのは、国民一人ひとりの気概である。政府や自治体にすべてを委ねる「お任せ民主主義」では、真の国難は乗り越えられない。まずは、自分の身は自分で守る「自助」の精神を確立することだ。家庭での食料備蓄、避難経路の確認、家具の固定。今回の揺れを機に、各々が足元の備えを再確認すべきである。

そして、日本の美徳であった「共助」の精神、すなわち地域社会の絆を取り戻す必要がある。隣近所で声を掛け合い、高齢者や弱者を助け合う。こうした共同体の力が、公的な支援が届くまでの時間を繋ぎ、多くの命を救うのだ。

政府の役割である「公助」は、これら自助・共助を前提とした上で、国家レベルのインフラ整備や自衛隊・警察・消防による大規模な救助活動に注力すべきである。

今回の震度4は、大きな被害をもたらさなかった。しかし、この小さな揺れは、我々が暮らすこの国が常に大きな脅威と隣り合わせであることを教えている。平時の安逸に浸ることなく、来るべき危機に備え、国土と国民を守るための議論を深め、行動を起こすこと。それこそが、未来の世代に対する我々の責務なのである。

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