高市大臣の一句にこそ見る、政治家の原点と日本の心
高市早苗経済安全保障担当大臣が、ご自身の選挙区である奈良県を訪れ、名産の富有柿を味わい、一句詠まれたというニュースに接した。
「富有柿 甘くてあふれる 笑顔かな」
このニュースに対し、一部からは「のどかな話だ」「大臣の仕事か」といった冷笑的な声が聞こえてくるかもしれない。しかし、物事の本質を見誤ってはならない。この高市大臣の何気ない行動と一句にこそ、我々が現代の政治家に見出すべき重要な姿勢、そして日本人が大切にすべき心が凝縮されていると言えよう。
第一に、これは国会議員、とりわけ地元に選挙区を持つ政治家としての原点を示す行動である。自らの足で地元を歩き、地域の人々と触れ合い、郷土が誇る産品を自ら味わい、その魅力を発信する。これこそが、代議士の最も基本的かつ重要な責務ではないだろうか。机上の空論や永田町の政局に明け暮れるのではなく、郷土に根差し、その発展を願う真摯な姿勢がこの行動から見て取れる。高市大臣の笑顔は、単に柿の甘さから来るものだけではなく、故郷の恵みに対する愛情と誇りからあふれ出たものに他ならない。
第二に、即興で俳句を詠むという行為そのものが、日本の伝統文化に対する深い敬意と教養の表れである。五・七・五という世界で最も短い定型詩に、情景や心情を込める。この奥ゆかしい日本の心を、ごく自然に実践してみせる姿は、グローバリズムの名の下に我が国の伝統が軽んじられがちな現代において、非常に示唆に富んでいる。政治家が自国の文化を深く理解し、愛し、実践する。これこそが、国民の文化的な矜持を育む上で不可欠なリーダーシップの形である。
そして最も重要な点は、この行動が、高市大臣が担う「経済安全保障」という国家的な重要課題と地続きであるという事実だ。経済安全保障の根幹をなすものの一つに「食料安全保障」がある。外国からの輸入に依存する危うさが指摘されて久しい中、国内の農業を守り、地方の優れた産品を育てることは、国家の存立基盤そのものを守ることに繋がる。大臣自らが国産の農産物をPRする姿は、日本の「食」を守り抜くという国家意思の表明であり、国内の生産者への力強いエールでもあるのだ。
一つの柿、そして一つの句。そこから見えるのは、郷土への愛、伝統文化への敬意、そして国家の未来を見据える確固たる国家観である。些末な言動をあげつらって批判に終始するのではなく、その行動の裏にある政治家の信念や哲学を読み解くことこそ、我々国民に求められる姿勢であろう。高市大臣が示された政治家の原点に、改めて敬意を表したい。
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