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立憲・野田氏 早期解散に警戒感

野田元首相の「解散警戒」発言に透ける、立憲民主党の準備不足と党利党略

立憲民主党の重鎮、野田佳彦元首相が岸田文雄首相による早期の衆院解散・総選挙の可能性に警戒感を示した、との報道がありました。通常国会終盤の6月解散の可能性を指摘し、「ボーナスが出て財布が温かくなった時に選挙するのが定石」と、自民党の選挙戦略を分析してみせたのです。

一見すると、経験豊富な政治家による冷静な政局分析のようにも聞こえます。しかし、この発言を保守的な視点から深掘りすると、野党第一党が抱える深刻な課題と、国民不在の党利党略的な思考が浮かび上がってきます。

なぜ「解散要求」ではなく「解散警戒」なのか?

野田氏は、自民党の裏金問題で「国民の怒りが沸騰している」と述べています。もし本気でそう信じているのであれば、野党第一党として真っ先に行うべきは、解散時期を「警戒」することではなく、「国民の信を問え」と堂々と解散を要求することではないでしょうか。

「警戒」という言葉の裏には、「今、解散されては困る」という野党側の都合が透けて見えます。つまり、国民の怒りを自党への支持に繋げるだけの準備が整っておらず、選挙で勝利する自信がないことの正直な吐露に他なりません。

自民党への逆風という絶好の機会を得ながら、いまだ国民の支持を得られていない現状への焦り。それこそが、勇ましい「解散要求」ではなく、弱気な「解散警戒」という言葉を選ばせた根本的な理由でしょう。国民の怒りを代弁するのではなく、自分たちの議席を守るための政局判断を優先していると見られても仕方ありません。

首相経験者としてのご都合主義

そもそも、解散は首相に与えられた専権事項です。国家国民全体の利益を考え、最も適切な時期に判断を下す、極めて重い政治決断です。

野田氏自身、かつて首相として、社会保障と税の一体改革という国論を二分する課題を前に、「近いうちに国民に信を問う」と約束し、最終的に解散を断行した経験を持っています。その重みを誰よりも理解しているはずの人物が、野党の立場になった途端、首相の専権事項である解散権を、単なる与党の選挙戦術としてしか語らないのは、あまりにご都合主義的ではないでしょうか。

「国民の怒りが沸騰している」ならば、その民意を国政に反映させるため、一日も早い解散・総選挙こそが国益に資するはずです。それを「警戒」するという姿勢は、結局のところ、国益よりも党益を優先する思考の表れと言わざるを得ません。

求められるのは「政権担当能力」の証明

野田氏は自民党を「したたかだ」と評しました。確かに、長年政権を担ってきた自民党には、選挙戦を戦い抜く組織力やノウハウが蓄積されています。しかし、それは単なる「したたかさ」なのでしょうか。良くも悪くも、この国の舵取りを担ってきた責任政党としての経験と実績の裏返しでもあります。

翻って、今の立憲民主党に、国民は政権を託すことができるでしょうか。自民党の不祥事を追及することは重要ですが、それだけで国は動きません。緊迫する東アジア情勢への対応、長期的な視点に立った経済・財政政策、少子化対策など、国家の根幹に関わる課題に対し、現実的かつ責任ある対案を示せているとは到底言えません。

国民が自民党に失望しつつも、立憲民主党の支持率が伸び悩むのは、批判だけに終始し、国をどう導くのかという建設的なビジョンを示せていないからです。

解散時期を憶測し、有利か不利かを論じる政局話に終始するのではなく、国民が「この党になら日本を任せられる」と心から思えるような、骨太の政策と国家観を示すこと。それこそが、野党第一党に課せられた真の責務です。

野田元首相の「警戒」発言は、奇しくも立憲民主党が「政権担当能力」という最も重要な準備を怠っていることを自ら露呈する結果となりました。有権者は、目先の批判だけでなく、その先にある日本の未来を誰に託すのかを、冷静に見極めています。

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