八潮市発行の文書をテキスト化したものです。
市長動向
事故発生当日について
1月28日の午前10時30分頃に建設部から事故発生(1回目の陥没)の一報を受け、急遽、出張を取りやめました。その後、建設部、水道部及び草加八潮消防組合等から被害状況の報告を受け、必要事項の指示を行いました。
設置より何日目に避難所を訪問したかについて
避難所開設後から4日目の2月1日に訪問しました。
ふるさと納税
ふるさと納税2サイトに掲載、寄付金を募ることになった経緯について
陥没事故発生後、市内外から寄附の申出が多数あったことに加え、令和7年2月11日に災害救助法が適用されたことに伴い、ふるさと納税ポータルサイトの災害支援寄附の仕組みを活用できることとなったことから、寄附の手続きの簡素化や寄附者の利便性を考慮して、ふるさと納税ポータルサイトを通じた寄附の受付を開始しました。なお、ふるさとチョイス及びふるなびを活用した理由は、災害支援寄附実施の実績があり、かつ、ポータルサイト事業者の了承を得られたためです。
掲載決裁のタイミング、最終決裁者について
ポータルサイト事業者の了承を得て、庁内の事務手続きを進めており、決裁日はふるさとチョイスが2月13日、ふるなびが2月17日となっています。年度当初の両ポータルサイト事業者との契約は事務決裁規程に基づき、課長決裁となっています。その契約書上において、災害支援寄附のページ作成はポータルサイト事業者の業務範囲内と定まっており、今回の陥没事故に伴う災害支援寄附のページ掲載に当たっては、既存のポータルサイトの仕組みを活用したものであるため、課長決裁としたものです。なお、掲載に当たっては、事前に市長・副市長・企画財政部長に説明し了承を得ています。
寄付金の使途について
復旧事業や再発防止を含めた安全対策等への活用を検討しており、具体的な使途については、今後の復旧事業等の状況を踏まえて決定する予定です。
寄付者への報告について
今後、市のホームページで活用実績を報告する予定です。なお、陥没事故に対する寄附者に対しては、一般の寄附者と同様に「寄附金受領証明書」を兼ねた「八潮市へのふるさと納税寄附に対する御礼」を郵送しており、今後の復旧の方向性が定まった時点で改めて御礼状をお送りする予定です。
実態把握
経済損失を受けている市内業者について
事故発生後、市内業者から経済損失に対する相談等がありましたが、市では経済損失を受けているか及び損失補償をするかについては判断できないため、県に対して市内事業者への問合せに対する窓口を設置するよう要請してきました。その結果、県が専用電話窓口を設置し対応していただいています。経済損失を受けている市内業者に対する市独自の支援としては、当該道路陥没の影響を受けた中小企業等の経営安定化を図るため、八潮市融資制度を受けた方に対して利子補給を行います。当該道路陥没の影響を受けたことを理由に、令和7年1月28日以降に新たに一般小口資金融資、特別小口資金融資、商工業近代化資金融資を受けた事業者については、令和7年中に支払った利子額の100%を補助するものです。なお、貸付限度額の範囲で追加融資を受けた場合も対象です。令和7年4月23日時点で4件の申請があり、そのうち3件が当該道路陥没の影響を受けたことを理由に借入を申し込んだものです。
また、八潮市商工会では会員の被害状況を把握するため、会員約2,200名に対しアンケート調査を実施しています。売上の影響や下水道使用自粛の影響について質問したもので、125件の回答では、全く影響なしが44件、売上の影響を受けたが27件、交通規制による影響を受けたが22件、下水道使用自粛の影響を受けたが25件、その他風評被害等を受けたが14件とのことでした。
県の市民への個別対応について
市では、県に対して道路陥没事故現場の周辺住民に陥没箇所の拡大への不安、復旧工事に対する騒音・振動、悪臭、その他困りごとなどについて、丁寧に聞き取り、対応するよう要請してきました。その結果、道路陥没事故の周辺住民宅に直接訪問し、意見を聞くなど対応にあたっていると伺っています。
市有公共インフラ施設
影響について
下水道の影響については、雨水管渠は、中央一丁目交差点内の大正第一幹線のボックスカルバート断面2,100mm×2,100mm、延長約50mが寸断されているため、その上流部の雨水排水等に支障をきたしています。また、汚水管渠については、現在のところ、汚水の流下に影響は確認されていませんが、埼玉県より令和7年1月28日から令和7年2月12日までの16日間にわたる下水道の使用自粛要請があり、可能な範囲でお風呂、洗濯等の排水頻度を下げるなど、市民生活に影響がありました。
水道の影響については、基幹管路を含めた口径100~600mmの管路を延長約680m停水し、切り離しなどを行っています。この結果、一時的に停水に伴う濁り水が5件、断水が8件発生しましたが、現在は仮給水などの対応を図ったことで濁り水は解消し、断水は1件となっています。
大正第一幹線寸断による内水氾濫への対応等
同幹線の応急的及び早期本復旧対策について
大正第一幹線寸断による内水氾濫への応急的な対応については、寸断されている大正第一幹線の区間に仮管を布設し、上流から流入する排水の経路を確保するよう、埼玉県へ対応を求めています。また、本復旧については、破損した流域下水道管の復旧等に多くの時間を要し、早期の実施が難しいことから、陥没事故周辺の復旧に合わせて速やかに本復旧が実施できるよう、埼玉県と協議を進めていきます。
今後、「菜種梅雨」や「用水の通水」、「梅雨」、「台風」等をむかえ、中井堀(8号水路)の排水対策が求められるが、関係した対策について
八条用水の通水に伴い、用水内の水量が増加するため、大型土のうや角落しを設置することで、陥没現場付近に水が流れ込まないよう、止水措置を施しています。また、降雨による雨水や生活雑排水などは、陥没箇所上流の水路に流入するため、水中ポンプを使い、中川や葛西用水など、異なる流末へ排水先を分散することで、浸水被害が生じないよう対策を講じています。
下水道
本市が管理する市内全域の下水道管の再点検の進捗状況と結果について
道路陥没事故を受けた緊急対応として、市内の下水道汚水幹線のマンホールを対象に、目視による再点検を令和7年2月17日から令和7年3月19日にかけて、全231箇所実施しました。点検結果については、西袋地内の汚水管渠の一部に腐食状況があったものの、その他路線において、汚水の流下を阻害する土砂の堆積や、道路陥没に繋がる管渠の損傷等は確認されませんでした。
修繕等が必要な箇所があったか否かについて
西袋地内で腐食状況が確認された管渠については、腐食の進行により強度低下等の恐れがあることから、管更生による修繕が必要となります。なお、修繕については、管渠の詳細な調査や工法検討などを踏まえ、早期に管渠を健全な状態に戻すため、準備を進めています。
本市で行ってきた安全点検を見直し、改定予定の「下水道事業経営戦略」をはじめ、関連計画等に記載する考えはあるか否かについて
現在の安全点検は、下水道法の規定に基づき策定したストックマネジメント計画により実施しているため、見直しについては、国の動向を注視しながら、必要に応じて行います。また、下水道事業経営戦略をはじめとする関連計画において、下水道施設の老朽化対策は、ストックマネジメント計画に則って行うと定めているため、国から新たな方針等が示され、ストックマネジメント計画の改定を行うこととなった際には、必要に応じて関連計画に反映することが考えられます。
迂回路の安全
陥没地周辺の小学校区などに係る通学路の安全確保について
陥没事故発生現場周辺で少なからず通学路に影響のあった学校は3校(八潮中、八幡小、潮止小)です。事故発生当日から、教育委員会事務局による指導を含め、各校で登下校時の安全指導並びに注意喚起を徹底してきました。
その後、陥没事故に伴う救助作業並びに復旧に向けた緊急工事に加え、交通規制により迂回路となった道路周辺での通行車両の急激な増加などから、潮止小学校並びに八潮中学校の通学路について一部変更を余儀なくされました。埼玉県並びに八潮市の関係課担当者が複数回にわたり合同点検するなどして通学路の変更を決定し、当該箇所(潮止小学校の赤コースとオレンジコース)に関して、登下校時の警備員等の人員配置を依頼しました。
3月27日、陥没事故現場より半径500mの範囲内において、全ての通学路の安全点検を実施し、合計18箇所の交差点において、不明瞭な道路標識等の改善や新たな道路標識の設置・表示等、埼玉県警と連携して交通安全対策工事を実施していただきました。また、近隣小・中学校の新学期開始に合わせ、生徒や保護者に対し、現場周辺の交通規制状況や工事用車両通行ルート及び交通指導員の配置に関するお知らせを配布しました。現在、当該箇所の警備員等の継続配置に加え、中川堤通り西側スクールゾーンについて、【①道路標識を増やす。②スクールゾーンの道路標示を増やす、分かりやすくする。】計3点、埼玉県へ要望を伝えているところです。
今後も、陥没事故現場における救助作業並びに復旧工事の進捗状況を注視し、関係小・中学校等の児童生徒の登下校時をはじめとする安全確保について、適切に情報提供並びに注意喚起をしていきます。
情報発信
県との連携について
事故発生後の1月29日から県下水道事業課及び危機管理課の職員がリエゾンとして派遣され、事故への対応協議や市の危機対策本部会議、災害対策本部に参加していただくことなどにより連携に努めました。
本市独自の発信内容について
市ホームページに特設コーナーを設け、陥没事故にかかる市長コメントの発表や避難所情報、インフラに関すること、関係自治体からの支援内容、埼玉県の相談窓口開設の周知、イベントの中止情報など、主に市民生活に直接影響のある内容について情報発信を行いました。
本市として迅速な情報発信とマスコミ等への対応マニュアル作成について
本件に関する情報発信ツールとして、市ホームページや、昨年度にリニューアルした840メール配信サービス(LINEと連動)を活用し、市民への迅速な情報発信に努めました。また、マスコミに対しては、八潮市パブリシティハンドブックに基づき、プレスリリースを通じた情報発信のほか、市長に対する記者の囲み取材にも複数回にわたって応じ、適宜、情報提供を行いました。八潮市災害対策本部の広報班内では常に情報を共有し、事故案件から災害案件に切り替わるという前例のない状況のなか、市民に正確な情報を発信する体制づくりに努めました。
陥没事故の周辺住民、企業等を対象とした定期的な説明会、個別相談会の実施について
周辺住民等から県に対して、復旧工事の内容や進捗状況、補償の考え方等についてのご意見があったことから、陥没事故の周辺住民を対象に、2月22日八潮メセナホールにおいて、埼玉県が主催で、住民説明会を開催しました。今後も開催するよう、市からも要請しています。
また、3月12日に「道路陥没事故に関するかわら版(創刊号)」を埼玉県下水道局が発行し、以後、月に2回程度の頻度で周辺住民への情報提供を行うことになっています。また、市では市内全ての町会・自治会長へも送付していただくよう依頼しました。
本市へ電話での問い合わせ
件数について
事故発生の1月28日から市への電話での問い合わせがあり、29日以降は電話が殺到し、1日300件を超える日もありました。その後、問い合わせ件数は徐々に減少しましたが、3月21日までには、1,755件の問い合わせがあり、1番多かった内容は「事故に対しての個人的な意見」が504件(28.7%)ありました。
県のコールセンター設置前後の状況変化について
県では2月5日からコールセンターを設置しました。それまで市に1日平均100件前後の問い合わせがありましたが、2月6日以降は約半分程度に減少しました。なお、市では何度となく、県に対して電話対応窓口の設置について要請してきました。
災害対応
ボランティアや物資等の支援窓口設置について
今回の道路陥没事故については、局所的な事故災害であり、ボランティア活動が必要な避難所運営、がれきの撤去、自宅の片付けなどが想定されなかったため、ボランティア支援窓口の設置には至りませんでした。
物資等の支援については、支援者の好意を避難者に届けるため、危機管理防災課で対応しました。なお、地震や洪水等の災害対応では、災害対策本部配備体制での対応として、「ボランティア支援班」及び「物資班」を配備するよう八潮市地域防災計画に位置付けています。
本市職員の防災服の更新について
現在、本市では防災服を職員に貸与していませんが、令和6年能登半島地震の被災自治体に職員派遣を行った際、防災服の必要性を感じたため、令和7年度の当初予算で、市長・副市長・教育長・防災部局職員・被災地に派遣する支援者用として、23着分を予算化しています。
災害エスノグラフィーについて
今回の経験、事象を共有化することは大変重要なことです。一方、今回の道路陥没事故については、災害救助法が遡って適用になったものの、実態は事故災害です。その対応については、原因が県管理の下水道管破損による県道陥没であることから、原因者である県が主体となって現在進行形で進められています。そのため、今回の事故災害を総合的にとらえ、その経験等を今後に役立てるためには、県が主導して災害エスノグラフィー調査を実施する必要があるものと考えています。
避難所
転々とした理由について
1月29日午前2時40分頃「ガス漏れに伴う爆発の危険性がある」とのことから、道路陥没の中心から半径200メートルにお住まいの方へ避難指示を発令するよう警察からの要請があったため、一時的な避難場所として「市役所の多目的室、保健指導室、大会議室」を開放しました。冬の夜間であったことから、避難場所として指定している公園や学校の校庭ではなく、屋内を提供したところです。
その後、自宅へ戻れない場合を想定し、また避難者の移動も考慮して、市役所から最も近い指定避難所である「八潮中学校の体育館」を29日中に一時避難所として開設しました。
しかし、さらなる避難の長期化が想定されたことから、学校教育活動を正常化するため、八潮中学校体育館を閉鎖することとし、2月2日にエイトアリーナ(鶴ヶ曽根体育館)を避難所として開設したところです。
ペット対応について
1月29日の朝、市役所へ避難されてきた方の中には、ペットと同行避難をされてきた方がいます。この方々は、市役所と保健センターの駐車場内の車中で避難をされていましたので、朝食と水を提供しました。なお、29日の夜以降、一時的避難所に避難された方にペットの同行避難をされた方はいませんでした。
また、ペットがいるので自宅で過ごされていた方もいたと伺っていますが、その後の県の説明によりホテルへ移ったと伺っています。
避難所リーダーの育成について
避難場運営については、避難所開設が長期化する場合には、避難者自身による住民自治組織を中心とした運営組織を設置することになっています。
このため、避難所リーダーの育成については、市では平時から自主防災組織への支援を行っています。研修会の実施や地区防災計画の作成支援、防災士の資格取得支援などを通じて、災害時に避難所リーダーとなる人材の育成に努めています。