街頭アンケート「八潮市に期待することは?」

1. はじめに

本報告書は、八潮市議会会派「みらい会議840」が八潮駅前で実施した街頭アンケート「八潮市に期待することは?」の結果に基づき、市民が市政に抱く政策期待を推測・分析するものです。アンケートは子育て世帯が多い時間帯に行われた可能性があり、以下の順位で市民の期待が示されました:

  1. 教育・子育て(圧倒的に多い)
  2. 地域・公共施設(1位の半分程度)
  3. 交通・都市整備(2位の半分程度)
  4. 福祉・健康医療(2位の半分程度)
  5. 経済支援・情報
  6. 防犯・防災対策

八潮市は人口約92,512人(2021年1月時点)、面積18.02平方キロメートルで、人口密度は5,100人/平方キロメートルと高く、東京から約20キロメートルのベッドタウンとして発展しています。特に若年層や子育て世代が多く、賃貸住宅居住者の割合が高いため、子育て関連のニーズが強いと考えられます。

2. 最優先課題:教育・子育て支援(アンケート第1位)

アンケートで圧倒的な支持を得た「教育・子育て」分野は、八潮市民にとって最重要課題です。市の人口構成(若年層・子育て世代の多さ、賃貸住宅居住者の割合の高さ)が、子育てに伴う経済的・時間的負担の大きさを示唆しており、これが強い期待の背景と考えられます。

2.1. 経済的負担の軽減

子育てには多額の費用がかかるため、経済的支援は不可欠です。八潮市では以下の施策が実施されています:

  • 出産・子育て応援給付金:妊娠届・出生届を行った家庭に合計10万円相当の支援。
  • こども医療費助成児童扶養手当ひとり親家庭等医療費助成
  • 大学受験料補助:単親・低所得世帯向け、最大53,000円(八潮市こども計画)。

市民はこれらの施策に加え、以下のようなさらなる支援を期待していると考えられます:

  • 児童手当の市独自上乗せや所得制限の緩和。
  • 保育料の無償化範囲拡大、多子世帯への割引強化、給食費や学用品購入費の補助。
  • 子育て世帯向け家賃補助や住宅取得支援。

2.2. 保育・教育サービスの量的・質的拡充と多様化

共働き世帯の増加や多様な働き方の広がりを受け、保育サービスの量的確保と質の向上、ニーズに応じた多様化が求められています。国の「こども誰でも通園制度(仮称)」に呼応し、八潮市でも以下のような施策が期待されています:

  • 保育施設の増設:待機児童解消のための認可保育所や認定こども園の整備、特に駅周辺や住宅地への設置。
  • 多様な保育サービス:延長保育、休日保育、夜間保育、一時預かり、病児・病後児保育の拡充。
  • 質の向上:保育士・教員の処遇改善、放課後児童クラブの拡充。
  • 教育の充実:学校施設の改善、少人数学級の推進、特別支援教育の強化。

八潮市は「八潮こども夢大学」を通じて、大学と連携し小中学生に学びの意義や将来の夢を育む機会を提供しています(教育関連の取り組み)。

2.3. 相談支援体制と地域コミュニティの強化

核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中、子育て家庭の孤立防止が重要です。八潮市では妊娠期からの伴走型相談支援や家庭児童相談、教育相談窓口を設けていますが、以下のような強化が期待されています:

  • 妊娠期から学齢期までの切れ目のない相談支援、オンライン相談や訪問支援の拡充。
  • 産後ケアの充実(宿泊型、デイサービス型、訪問型)。
  • 子どもの居場所づくり(プレーパーク、児童館、子ども食堂)。
  • 親同士の交流支援(子育てサロン、親子イベント)。

2.4. 八潮市こども計画との整合性

八潮市は「八潮市こども計画(2025年~2029年)」を策定し、以下の理念と施策を推進しています:

  • 基本理念:子どもと親が輝けるまち「八潮」。
  • 施策
    • ライフステージごとの支援(妊娠期~青年期)。
    • 子どもの権利擁護、意見表明の場づくり。
    • 安全な環境整備(防犯、交通安全、災害対策)。
    • 子ども・若者・家族にやさしいまちづくり。

この計画は、市民の教育・子育てへの期待に直接応えるものであり、特に経済的支援(受験料補助)やコミュニティ強化(居場所づくり)が重視されています。

3. 基盤となるニーズ:地域・公共施設、交通・都市整備(アンケート第2位・第3位)

「地域・公共施設」と「交通・都市整備」は、日常生活の質を支える基盤であり、教育・子育て支援にも影響を与えます。

3.1. 地域・公共施設

八潮市の公共施設は老朽化や耐震性不足、維持管理費の負担増が課題です。南部地域には常備消防施設がなく、サービス格差も指摘されています。市民の期待は以下の通り:

  • 施設の近代化:学校、公民館、市庁舎の耐震改修や建て替え。
  • 効率化と利便性:利用率の低い施設の統廃合、複合施設化、夜間・休日開館の延長。
  • 地域格差の是正:南部地域への消防署整備、図書館サービスの地域拠点化。

3.2. 交通・都市整備

公共交通空白地帯(北部地域など)、コミュニティバスの赤字運営、バス・タクシー乗務員不足が課題です。市民は以下を期待:

  • 公共交通の改善:コミュニティバスのルート・ダイヤ見直し、デマンド交通の導入、駅とバスの接続強化。
  • 道路網整備:長期未整備の都市計画道路の推進、渋滞解消(ラウンドアバウト導入)。
  • 多様な移動ニーズ:高齢者・障害者向けの移動支援、自転車通行空間の整備。

4. 社会的セーフティネット:福祉・健康医療、経済支援・情報(アンケート第4位・第5位)

「福祉・健康医療」と「経済支援・情報」は、市民の安心な暮らしを支えるセーフティネットです。

4.1. 福祉・健康医療

八潮市の「第3次八潮市健康づくり行動計画」では、健康寿命の延伸を目指し、食生活改善や運動習慣の定着を推進しています。市民の期待は:

  • 予防・健康づくり:特定健診・がん検診の受診促進、減塩や野菜摂取のプログラム。
  • サービスアクセス:かかりつけ医の強化、高齢者・障害者・ひとり親家庭への支援。

4.2. 経済支援・情報

賃貸住宅居住者の多い八潮市では、経済的変動の影響を受けやすい層への支援が重要です。期待される施策:

  • 経済的支援:生活保護や自立支援制度のアクセス確保、家賃補助。
  • 情報提供:支援制度のポータルサイト整備、相談窓口の設置。

5. 安全な生活環境:防犯・防災対策(アンケート第6位)

「防犯・防災対策」は安全・安心の基盤です。八潮市は防犯カメラ設置補助や防災教育を推進しています。市民の期待:

  • 防犯:公園や駅周辺への防犯カメラ増設、街灯のLED化。
  • 防災:避難場所・経路の周知、公共施設の耐震化、避難訓練の実施。

八潮市の「八潮こども防災マイスター」では、子どもたちに防災知識や救急救命を教える取り組みが行われています(教育関連の取り組み)。

6. 政策提言

アンケート結果は、八潮市民が「教育・子育て支援」を最優先とし、それを支える「地域・公共施設」「交通・都市整備」を重視していることを示します。以下に具体的な提言を示します:

  • 子育て支援の強化:保育所増設、受験料補助の継続、相談支援の拡充。
  • インフラ整備:公共施設の耐震改修、コミュニティバスの利便性向上。
  • セーフティネット:健康増進プログラムの推進、情報アクセスの改善。

7. 結論

八潮市の市民は、子育てしやすいまちづくりに強い期待を寄せています。「八潮市こども計画」や「八潮こども夢大学」などの取り組みは、これらの期待に応えるものであり、市の方向性が市民ニーズと一致しています。今後、他の分野(地域施設、交通、福祉など)とのバランスを取りながら、市民の声を反映した政策を推進することが、八潮市の持続的な発展につながるでしょう。

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