年収450万円の手取りはいくら?(社会保険料・税金は?)

I. はじめに

目的

本報告書は、令和7年度(2025年度)において、特定の条件下にある被用者の年収が450万円である場合の社会保険料および税金の負担額を試算することを目的とします。試算対象は、被用者本人の負担額に加え、事業主負担分の社会保険料、ならびに個人の年間消費税負担額(想定)も含みます。

算定方法

試算は、提示された以下の8段階のプロセスに基づき実施されました。

  1. 年収450万円から月額給与を算出し、標準報酬月額を決定。
  2. 決定した標準報酬月額に基づき、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の年間被用者負担額を計算。
  3. 年収に基づき雇用保険料の年間被用者負担額を計算し、(2)と合算して年間社会保険料(被用者負担合計)を算出。
  4. 年収に対する給与所得控除額、年間社会保険料(被用者負担合計)、基礎控除を差し引き、所得税および住民税の課税所得金額を算出。
  5. 所得税額、復興特別所得税額、住民税額を計算し、年間税金(被用者負担合計)を算出。
  6. 健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、子ども・子育て拠出金の年間事業主負担額を計算し、年間社会保険料(事業主負担合計)を算出(労災保険料は除く)。
  7. 年間の手取り収入を計算し、仮定した消費性向に基づき、想定される年間個人消費税負担額を試算。
  8. 算出した主要数値を整理して提示。

試算にあたっては、以下の主要な条件を適用しています。

  • 被用者は40歳以上。
  • 居住地は東京都内、勤務先も東京都内の企業。
  • 加入する健康保険は、協会けんぽ(全国健康保険協会)東京支部。
  • 社会保険料率(健康保険、介護保険)は、令和6年3月分以降の協会けんぽ東京支部の料率を使用。厚生年金保険料率は18.3%を使用。
  • 雇用保険料率(被用者負担)は6/1000とする。
  • 給与所得以外の所得はない。
  • 所得控除は、社会保険料控除および基礎控除(所得税48万円、住民税43万円)のみを考慮。配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除等は勘案しない。
  • 住民税は、本来前年の所得に基づき課税されるが、当年所得に連動するものと仮定し、所得割税率10%、均等割5,000円とする。

免責事項

本報告書の試算結果は、令和7年度の社会保険料および税金を、令和6年度の保険料率や税制、および特定の仮定に基づいて算出した推定値です。実際の令和7年度の負担額は、法改正による保険料率や税制の変更、個人の昇給・降給、賞与の支給状況、家族構成の変化、その他控除(例:ふるさと納税、iDeCo、医療費控除など)の適用状況により、本試算結果と異なる可能性があります。特に、住民税の計算は簡略化のため当年度所得に基づくと仮定しており、実際の課税タイミングとは異なります。労災保険料は業種により料率が異なるため、事業主負担の計算からは除外しています。

II. 標準報酬月額の決定

平均月額給与の算出

社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)の計算基礎となる標準報酬月額を決定するため、まず年収から月額の給与を算出します。

年間給与 4,500,000円 ÷12ヶ月 =375,000円

この375,000円が、標準報酬月額の等級を決定するための基準となる報酬月額となります。

標準報酬月額(SMR)等級の特定

次に、算出された報酬月額375,000円を、協会けんぽ東京支部が定める「健康保険・厚生年金保険の保険料額表(令和6年3月分以降)」の報酬月額区分に当てはめます。この表に基づくと、報酬月額370,000円以上395,000円未満の範囲に該当します。

したがって、本試算における**標準報酬月額(SMR)は 380,000円(健康保険:25等級、厚生年金:22等級)**と決定されます。

標準報酬月額の意義

標準報酬月額は、実際の月々の給与変動にかかわらず、一定期間(通常は1年間)、社会保険料の計算基礎となる標準化された金額です。これにより、保険者(協会けんぽ等)および事業主双方の事務処理が簡素化されます。

この等級制度は、保険料負担において非線形的な影響をもたらします。例えば、月額給与が369,000円であれば一つ下の等級(SMR 360,000円)に、394,000円であれば今回のケースと同じ等級(SMR 380,000円)に分類される可能性があります。つまり、等級の境界付近ではわずかな給与差が保険料負担に比較的大きな差(ジャンプ)を生じさせる一方、同一等級内では給与額が異なっても保険料は変わりません。これは、厳密な比例性よりも管理上の効率性を優先する制度設計の結果と言えます。決定された標準報酬月額は、年の途中で大幅な給与改定(随時改定の要件に該当)がない限り、原則としてその年度の社会保険料計算に継続して用いられます。

III. 年間社会保険料(被用者負担)

本セクションでは、被用者の給与から控除される社会保険料の内訳と合計額を計算します。ここで算出される合計額は、後の税金計算において社会保険料控除として適用されます。

A. 健康保険料

協会けんぽ東京支部の保険料額表(令和6年3月分以降)に基づき、決定された標準報酬月額380,000円に対応する保険料率を適用します。東京都の健康保険料率は10.00%です。

  • 年間保険料総額: 380,000円 ×10.00%×12ヶ月 =456,000円
  • 被用者負担額(50%): 456,000円 ÷2=228,000円(年額)

B. 介護保険料

健康保険の被保険者で40歳以上65歳未満の場合、介護保険料の納付義務が生じます。本試算の対象者は40歳以上であるため、これに該当します。

料率は全国一律で、令和6年度は1.82%です。これは健康保険料に上乗せして徴収されます。

  • 年間保険料総額: 380,000円 ×1.82%×12ヶ月 =83,088円
  • 被用者負担額(50%): 83,088円 ÷2=41,544円(年額)

この介護保険料の存在は、年齢が社会保険料負担に直接影響を与えることを示しています。仮に同じ収入でも40歳未満であれば、この保険料負担(年額41,544円、年収の約0.92%に相当)は発生しません。これは、日本の社会保障制度が高齢化に伴う費用増を反映している一例です。

C. 厚生年金保険料

厚生年金保険料率は、現在18.3%で固定されています。

  • 年間保険料総額: 380,000円 ×18.3%×12ヶ月 =834,480円
  • 被用者負担額(50%): 834,480円 ÷2=417,240円(年額)

D. 雇用保険料

雇用保険料は、標準報酬月額ではなく、賞与を含む年間の賃金総額(年収)に基づいて計算されます。本試算では、指定された被用者負担率6/1000(0.6%)を用います。

  • 被用者負担額: 4,500,000円 ×0.006=27,000円(年額)

健康保険、介護保険、厚生年金保険が標準報酬月額という「標準化・上限あり」の計算基礎を用いるのに対し、雇用保険は実際の賃金総額を基礎とします。これは、残業代や賞与など、標準報酬月額の改定に即時には反映されない可能性のある賃金変動が、雇用保険料には直接的に影響を与えることを意味します。他の主要な社会保険と比較して、雇用保険料は総支給額に対する感応度が高いと言えます。

E. 年間社会保険料 被用者負担 合計

上記AからDまでの被用者負担額を合計します。

228,000円(健康保険) + 41,544円(介護保険) + 417,240円(厚生年金) + 27,000円(雇用保険) = 713,784円

表1:年間社会保険料(被用者負担)の内訳

項目年間被用者負担額
健康保険料228,000円
介護保険料41,544円
厚生年金保険料417,240円
雇用保険料27,000円
合 計713,784円

この表は、被用者が負担する社会保険料の構成要素を明確に示しており、特に厚生年金保険料が最も大きな割合を占めていることがわかります。個人の資金計画において、これらの内訳を理解することは重要です。

IV. 年間税金(被用者負担)

本セクションでは、所得に対して課される税金(所得税、復興特別所得税、住民税)の被用者負担額を計算します。計算にあたっては、関連する控除額を考慮します。

A. 給与所得の計算

まず、年収(額面収入)から給与所得控除額を差し引いて、税法上の「給与所得」を算出します。給与所得控除は、収入に応じて計算式が定められています。

年収4,500,000円の場合、適用される計算式は「収入金額 ×20%+440,000円」(収入3,600,001円~6,600,000円の範囲)です。

  • 給与所得控除額: (4,500,000円 ×0.20) + 440,000円 = 900,000円 + 440,000円 = 1,340,000円
  • 給与所得: 4,500,000円(年収) – 1,340,000円(給与所得控除) = 3,160,000円

B. 所得税の課税所得金額の計算

給与所得から、所得控除(社会保険料控除、基礎控除など)を差し引いたものが、所得税の課税対象となる所得(課税所得)です。

  • 社会保険料控除: 713,784円(III.Eで算出)
  • 基礎控除(所得税): 480,000円(合計所得金額2400万円以下の場合)
  • 所得税の課税所得金額: 3,160,000円(給与所得) – 713,784円(社会保険料控除) – 480,000円(基礎控除) = 1,966,216円

課税所得金額は1,000円未満を切り捨てるため、1,966,000円となります。

注目すべきは、支払った社会保険料 713,784円が全額所得控除の対象となる点です。この控除により課税所得が大幅に圧縮され、結果的に所得税額が軽減されます。これは、社会保障制度への参加に対する間接的な税制優遇措置と解釈でき、社会保険料負担の重さを一部相殺する効果があります。

C. 所得税額の計算

算出した課税所得金額 1,966,000円に、所得税の税率を適用します。所得税は累進課税制度であり、課税所得金額に応じて税率が変わります。

1,966,000円は、「1,950,000円超 3,299,000円以下」の区分に該当し、適用される税率は10%、控除額は97,500円です。

  • 所得税額: (1,966,000円 ×10%) – 97,500円 = 196,600円 – 97,500円 = 99,100円

D. 復興特別所得税額の計算

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源確保のために創設された税金で、基準所得税額(上記Cで計算した所得税額)に対して2.1%が課されます。

  • 復興特別所得税額: 99,100円 ×2.1%=2,081.1円 円未満は切り捨てるため、2,081円となります。

E. 住民税の課税所得金額の計算

住民税の計算においても、所得控除を適用しますが、基礎控除の額が所得税とは異なります。

  • 給与所得: 3,160,000円(Aで算出)
  • 社会保険料控除: 713,784円(III.Eで算出)
  • 基礎控除(住民税): 430,000円(合計所得金額2400万円以下の場合)
  • 住民税の課税所得金額: 3,160,000円 – 713,784円 – 430,000円 = 2,016,216円

課税所得金額は1,000円未満を切り捨てるため、2,016,000円となります。

所得税の基礎控除(480,000円)よりも住民税の基礎控除(430,000円)の方が50,000円少ないため、住民税の課税所得金額は所得税のそれよりも大きくなります。この差異は、国税と地方税で異なる控除基準が適用されている結果であり、最終的な税負担額に影響を与えます。

F. 住民税額の計算

住民税は、所得に応じて課される「所得割」と、所得にかかわらず定額で課される「均等割」の合計額です。

  • 所得割: 2,016,000円(住民税の課税所得) ×10%(標準税率) = 201,600円
  • 均等割: 5,000円(東京都の標準額、内訳:都民税1,500円、区市町村民税3,500円)
  • 年間住民税額: 201,600円(所得割) + 5,000円(均等割) = 206,600円

(注記:本試算では、住民税を当年の所得に基づいて計算していますが、実際には前年の所得に基づいて計算され、翌年6月から徴収が開始されます。)

G. 年間税金 被用者負担 合計

上記C、D、Fで計算した税額を合計します。

99,100円(所得税) + 2,081円(復興特別所得税) + 206,600円(住民税) = 307,781円

表2:年間税金(被用者負担)の内訳

項目年間被用者負担額
所得税99,100円
復興特別所得税2,081円
住民税
– 所得割201,600円
– 均等割5,000円
小計(住民税)206,600円
合 計307,781円

この表により、所得に対する税負担の内訳が明らかになります。国税(所得税、復興税)と地方税(住民税)の割合や、住民税における所得比例部分と定額部分の構成が分かります。

V. 年間手取り収入(差引支給額)の計算

年間の手取り収入は、年収(額面)から、被用者が負担する社会保険料と税金の合計額を差し引いて算出されます。

  • 計算式: 年収 – 年間社会保険料(被用者負担合計) – 年間税金(被用者負担合計)
  • 年間手取り収入: 4,500,000円 – 713,784円(社会保険料) – 307,781円(税金) = 3,478,435円

この3,478,435円が、被用者が1年間で実際に受け取る可処分所得(手取り額)となります。ただし、これは財形貯蓄や労働組合費など、その他の給与控除がない場合の金額です。

額面年収450万円に対し、社会保険料と税金の合計負担額は 713,784円 + 307,781円 = 1,021,565円 となり、これは年収の約22.7%(1,021,565÷4,500,000)に相当します。この割合は、給与所得者が負担する義務的な控除の大きさを物語っており、個人の家計管理や生活設計において、額面収入と手取り収入の差を認識することの重要性を示唆しています。また、この負担割合は、日本の社会保障制度や公共サービスを維持するための財源が、個人の給与から相当程度拠出されている実態を反映しています。

VI. 年間社会保険料(事業主負担)

社会保険制度では、被用者だけでなく、雇用主である事業主も保険料の一部を負担します。多くの場合、事業主負担額は被用者負担額と同等か、それ以上になります。本セクションでは、事業主が負担する年間社会保険料を計算します。なお、労災保険料は業種によって料率が異なるため、本試算からは除外します。

A. 健康保険料(事業主負担)

被用者負担と同額です。

  • 事業主負担額: 228,000円(年額)

B. 介護保険料(事業主負担)

被保険者(被用者)が40歳以上の場合、事業主も同額を負担します。

  • 事業主負担額: 41,544円(年額)

C. 厚生年金保険料(事業主負担)

被用者負担と同額です。

  • 事業主負担額: 417,240円(年額)

D. 雇用保険料(事業主負担)

雇用保険料の事業主負担率は、被用者負担率とは異なります。令和6年度の一般の事業における事業主負担率は9.5/1000(0.95%)と仮定します。(実際の料率は年度や事業の種類により変動します)

計算基礎は被用者と同じく、年間の賃金総額(年収)です。

  • 事業主負担額: 4,500,000円 ×0.0095=∗∗42,750円**(年額)

E. 子ども・子育て拠出金

これは、児童手当などの財源に充てられる、事業主のみが負担する拠出金です。厚生年金保険料と合わせて徴収され、標準報酬月額を基礎として計算されます。令和6年度の拠出金率は0.36%です。

  • 事業主負担額: 380,000円(SMR) ×0.36%×12ヶ月 = 16,416円(年額)

F. 年間社会保険料 事業主負担 合計(労災保険料除く)

上記AからEまでの事業主負担額を合計します。

228,000円(健康保険) + 41,544円(介護保険) + 417,240円(厚生年金) + 42,750円(雇用保険) + 16,416円(子ども・子育て拠出金) = 745,950円

被用者負担の合計額(713,784円)と比較すると、事業主負担の合計額(745,950円)の方が大きくなっています。この差額は主に、雇用保険料の事業主負担率が被用者負担率より高いこと、そして事業主のみが負担する子ども・子育て拠出金が存在することによります。これは、企業が従業員を一人雇用する際の総コストが、単に給与額と折半分の社会保険料を足し合わせたものよりも相当高くなることを示しています。この「見えにくいコスト」は、企業の経営計画や採用計画、さらには労働市場全体の経済状況を理解する上で、極めて重要な要素となります。

表3:年間社会保険料(事業主負担)の内訳(労災保険料除く)

項目年間事業主負担額
健康保険料228,000円
介護保険料41,544円
厚生年金保険料417,240円
雇用保険料42,750円
子ども・子育て拠出金16,416円
合 計745,950円

この表は、事業主が負う社会保険関連コストの内訳を示しており、単純な折半負担以外の要素(雇用保険の差額、子育て拠出金)も明確にしています。これは、企業が人件費を評価する際や、社会保険制度全体の財源構造を理解する上で有用な情報です。

VII. 想定年間個人消費税負担額

個人の税負担を考える上で、給与から直接控除される所得税や住民税だけでなく、日々の消費活動を通じて支払う消費税も考慮に入れる必要があります。ここでは、年間の個人消費税負担額を推定します。現在の標準消費税率は10%です(一部軽減税率8%対象品目あり)。

算定方法

この試算は、個人の消費パターンに関する仮定に基づいた推定値です。手取り収入のうち、消費税(標準税率10%)が課される商品やサービスにどれだけの割合が支出されるかを仮定し、その支出額に含まれる消費税額を算出します。

仮定

手取り収入(3,478,435円)のうち、65% が消費税課税対象(標準税率10%)の支出に充てられると仮定します。この割合が100%未満である理由は、収入の一部が貯蓄や投資に回されること、家賃や住宅ローン返済、保険料、医療費(自己負担分)、一部の食料品(軽減税率対象)など、消費税が課されない、あるいは標準税率10%が適用されない支出が存在するためです。この65%という数値はあくまで一例であり、個人のライフスタイルによって大きく変動します。

計算

  • 想定される課税対象支出額(消費税込み): 3,478,435円(手取り収入) ×65%=2,260,983円
  • 上記支出額に含まれる消費税額(10%): 2,260,983円 ×11010​≈205,544円 (計算方法:消費税込み価格 × 税率 / (1 + 税率))

したがって、想定される年間の個人消費税負担額は、約205,544円と試算されます。

留意点

この試算額は、設定した消費性向(65%)や、支出内容がすべて標準税率10%対象であるという仮定に強く依存するため、極めて推計的なものです。実際の消費税負担額は、個人の具体的な支出内容(食料品の購入割合、外食頻度、住居費、趣味・娯楽費など)によって大きく異なります。

給与から天引きされる直接税(所得税・住民税:307,781円)と比較すると、この間接税である消費税の負担(推定205,544円)もまた、個人の経済的負担の中で無視できない規模であることがわかります。消費税は日々の買い物を通じて少しずつ支払われるため意識しにくい側面がありますが、年間で合計すると相当な額に達します。これは、個人の総税負担を把握する上で考慮すべき重要な要素です。仮定する消費性向の数値がこの結果を大きく左右するため、その推定の難しさも同時に示唆しています。

VIII. 主要な試算結果の要約

本報告書では、令和7年度における年収450万円(40歳以上、東京都内居住・勤務、協会けんぽ加入、基礎控除等以外の控除なし)の被用者に関する社会保険料および税金を、令和6年度の料率等に基づき試算しました。以下に主要な結果を要約します。

  • (a) 年間社会保険料(被用者負担): 713,784円
  • (b) 年間税金(所得税・復興税・住民税の合計、被用者負担): 307,781円
  • (c) 年間社会保険料(事業主負担、労災保険除く): 745,950円
  • (d) 想定年間個人消費税負担額(手取り収入の65%が10%課税対象と仮定): 205,544円

追加の主要指標:

  • 年間手取り収入(差引支給額): 3,478,435円

表4:試算結果の最終要約

項目金額
年収(額面)4,500,000円
年間社会保険料(被用者負担合計)713,784円
年間税金(被用者負担合計)307,781円
年間社会保険料(事業主負担合計、労災保険除く)745,950円
年間手取り収入(差引支給額)3,478,435円
想定年間個人消費税負担額(手取りの65%が10%課税対象と仮定)205,544円

この要約表は、本報告書で算出した主要な財務指標を一目で把握できるように整理したものです。被用者および事業主の負担、最終的な手取り収入、そして間接的な税負担である消費税の推定額をまとめて提示することで、年収450万円という条件における経済的実態の全体像を示します。

IX. 留意事項および結論

試算の前提条件の再確認

本試算は、以下の重要な前提条件に基づいています。

  • 令和7年度の数値を、令和6年度(令和6年3月以降)の社会保険料率および税制に基づいて推定していること。
  • 被用者が40歳以上であり、東京都内に居住・勤務し、協会けんぽ東京支部に加入していること。
  • 所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみを考慮し、配偶者控除、扶養控除、その他の控除(生命保険料控除、医療費控除、iDeCo、ふるさと納税等)は一切勘案していないこと。
  • 住民税の計算を簡略化し、当年度所得に基づいて計算していること(実際は前年所得基準)。
  • 個人消費税負担額の試算において、手取り収入の65%が標準税率10%の対象となる消費に充てられると仮定していること。

試算の限界

これらの前提条件のため、本試算結果はあくまで特定の条件下での推定値です。実際の令和7年度における負担額は、以下の要因により変動する可能性があります。

  • 制度改正: 健康保険料率、介護保険料率、雇用保険料率、厚生年金保険料率(現行固定だが将来的な変更の可能性)、子ども・子育て拠出金率、各種税法(所得控除、税率、基礎控除額など)が改正された場合。
  • 個人の状況変化: 年度の途中で給与改定(昇給・降給)があった場合、賞与の支給額が想定と異なる場合、扶養家族の増減があった場合、iDeCo加入やふるさと納税、医療費控除などの適用を受ける場合。
  • 労災保険料の除外: 事業主負担の計算において、業種により料率が異なる労災保険料が含まれていないため、実際の事業主の総負担額は本試算よりも若干高くなります。

結論

本試算の結果、年収450万円の被用者(40歳以上、東京都、協会けんぽ、控除限定)の場合、年間の社会保険料(被用者負担 713,784円)と税金(被用者負担 307,781円)の合計は約102万円となり、これは額面年収の約22.7%に達します。その結果、手取り年収は約348万円となります。

さらに、事業主も同等の社会保険料(745,950円、労災除く)を負担しており、被用者の雇用に伴う総コスト(年収+事業主負担社会保険料)は約525万円に上ることが示されました。

加えて、個人の消費活動に伴う消費税負担も年間約21万円(仮定に基づく推定)と試算され、可処分所得に対する間接的な負担も大きいことが確認されました。

これらの結果は、日本の現行制度下における給与所得者の負担構造、および企業の人件費構造の一端を示すものです。額面収入と実際に自由に使える手取り収入の間には大きな乖離があること、そして社会保障制度の維持には被用者・事業主双方から多大な費用が拠出されている実態が浮き彫りになりました。

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