デジタル改革で八潮を豊かに

2 埼玉県政

政府打診 日朝首脳会談の返事来ず

「北朝鮮の沈黙」に何をみるか? 安易な日朝対話への警鐘

政府が水面下で日朝首脳会談を打診し、その返事を待っている状態にあると報じられた。拉致問題の進展を願う国民にとって、一縷の望みを感じさせるニュースかもしれない。しかし、我々はこの状況を極めて冷静かつ懐疑的に見つめなければならない。北朝鮮という国家の、嘘と欺瞞に満ちた歴史を忘れてはならないからだ。

「返事が来ない」こと自体が交渉術である

まず問うべきは、なぜ北朝鮮は沈黙を守っているのか、という点だ。これは単なる内部調整の遅れなどではない。相手を焦らし、譲歩を引き出そうとする彼らの常套手段とみるべきだ。日本側が会談の実現に前のめりになればなるほど、彼らは足元を見てより大きな見返りを要求してくるだろう。過去の交渉史がそれを雄弁に物語っている。

そもそも、北朝鮮は拉致問題を「解決済み」と嘯(うそぶ)き、核・ミサイル開発を一方的に進めてきた国である。彼らが真摯に対話に応じる保証などどこにもない。むしろ、この「対話ムード」を逆手に取り、国際社会による制裁網の切り崩しや、さらなる兵器開発のための時間稼ぎに利用しようとしていると考えるのが自然である。

「対話」という名の罠―我が国が守るべき一線

岸田政権は「前提条件なしの対話」を掲げているが、これは極めて危険なシグナルだ。我々が求めるべきは「対話」そのものではない。すべての拉致被害者の即時一括帰国という「結果」のみである。

安否不明者の情報提供や、一部の被害者の帰国といった「小出しの成果」と引き換えに、経済制裁の緩和や人道支援の名を借りた資金援助を行うようなことがあれば、それは断じて国益にかなうものではない。そのような安易な妥協は、北の独裁体制を延命させ、核の脅威を増大させるだけであり、未来の日本に更なる災禍をもたらす愚行に他ならない。

忘れてはならない。北朝鮮がわずかでも対話の姿勢を見せる素振りをするのは、ひとえに国際社会による「圧力」が効いているからに他ならない。ここで圧力を緩めることは、自ら交渉のカードを捨てるに等しい行為である。

政権の焦りが国益を損なう

支持率の低迷に喘ぐ政権が、外交的成果を焦るあまり、安易な妥協に走るのではないかという懸念を拭えない。しかし、拉致、核、ミサイルという国家の根幹を揺るがす問題を、政権浮揚の道具とすることなど断じて許されない。

今、政府がなすべきは、北朝鮮からの返答に一喜一憂することではない。日米韓の連携をより一層強固にし、国際社会と足並みを揃えて最大限の圧力をかけ続けることだ。そして、万が一の事態に備え、防衛力を着実に強化し、国家・国民を守り抜く体制を盤石にすることである。

「対話」の扉は開けておくべきだ、という意見もあるだろう。しかし、その扉の向こうに、約束を守る気のない相手が手ぐすね引いて待っている可能性を常に念頭に置かねばならない。

我々国民は、政府が甘い幻想に惑わされることなく、国益と国民の生命・財産を最優先に、毅然とした外交を展開するよう、厳しく監視し続けなければならない。北朝鮮の沈黙は、我々の覚悟を試している。安易な期待は、最も警戒すべき敵である。

————-

ソース

この記事は役に立ちましたか?

参考になりましたら、下のボタンで教えてください。

関連記事

新着記事
会員限定
おすすめ
PAGE TOP
ログイン