トランプ氏の拝謁が示す、日本の国格と日米の真の絆
先日、ドナルド・トランプ前米大統領が来日し、皇居にて天皇皇后両陛下と再会されたとの報道に接した。一部のメディアはこれを単なる儀礼的なニュースとして淡々と報じるに過ぎないが、この出来事の裏には、我が国の国格と、安倍晋三元総理が築き上げた日米関係の深遠なる意味が込められている。我々はこの事実を、保守としての視座から正しく読み解く必要がある。
第一に、今回の拝謁は、トランプ氏個人の日本および皇室に対する深い尊崇の念の表れであると断言できよう。氏は令和初の国賓として来日した際にも、陛下に対し深々と敬意を表し、その振る舞いは多くの国民に感銘を与えた。大統領職を離れた一私人の立場となってもなお、国葬儀参列という多忙な日程の中で皇居を訪れ、両陛下にご挨拶をされたという事実は、その敬意が一過性のものではなく、氏の中に確固として根付いていることの証左に他ならない。
これは、日本の歴史と伝統の中心に在(いま)す皇室の尊厳を、世界の指導者級の人物がいかに認識しているかを示す好例である。国内の一部の勢力が皇室の権威を軽んじ、その存在を政治的に矮小化しようと試みる中で、外国の元指導者がかくも真摯な態度を示す姿は、我々日本人が自国の伝統に一層の誇りを持つべきことを教えてくれる。
第二に、この再会は、故・安倍晋三元総理が命懸けで築いた強固な日米同盟の「遺産」そのものである。トランプ氏の来日の主目的は、盟友であった安倍元総理の国葬儀への参列であった。その氏が、日本の象徴である天皇陛下に拝謁することは、安倍氏が育んだ日米の絆が、決して政治的な損得勘定だけのものではなく、互いの国の根源的な価値と伝統への敬意に裏打ちされた、真の信頼関係であったことを物語っている。
安倍元総理は、トランプ大統領(当時)との個人的な関係を通じて、時に予測不能とされるその言動を巧みに国益へと誘導し、日本の安全保障と経済的利益を守り抜いた。その外交手腕の根底には、相手の人間性を深く理解し、敬意を払うべき対象には最大限の敬意を払うという、日本の伝統的な徳があった。トランプ氏の今回の行動は、安倍氏が示したその精神に対する、最大の返礼と言えるのではないだろうか。
最後に、今回の出来事は、国際社会における「プロトコル(儀礼)」の重要性を改めて我々に示している。国家間の関係は、目に見える政策や条約だけで成り立つものではない。国家の象徴に対する敬意の示し方一つが、その国の品格を決定づける。トランプ氏の行動は、日本の最高権威が誰であるかを正しく理解し、それに相応しい敬意を払うという、国際儀礼の基本に則ったものである。
この当然の振る舞いを素直に評価せず、何か裏があるかのように勘繰ったり、「政治利用」などと穿った見方をしたりする声があるならば、それは日本の国益と国格を自ら貶める愚かな行為である。
トランプ前大統領の天皇陛下との再会は、単なる一コマのニュースではない。それは、一人の政治家が日本の皇室に抱く真摯な敬意の表れであり、安倍元総理が遺した偉大な外交的遺産の証明であり、そして我が国の持つべき誇りを再認識させてくれる、誠に意義深い出来事であった。我々はこの事実を胸に刻み、先人が築き上げてきた伝統と国際的信用の価値を、断固として守り抜いていかねばならない。
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