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2 埼玉県政

首相指名 自民と維新なぜ急接近

「改憲」への布石か、単なる数合わせか?保守の視点から自民・維新連携を問う

先日の首相指名選挙において、日本維新の会が岸田文雄総理に投票したという一報は、永田町に大きな衝撃を与えた。メディアはこぞって「自民・維新の急接近」と報じ、その背景にある様々な憶測を書き立てている。しかし、我々保守を自認する者として、この動きを単なる政局の駆け引きとして片付けてはならない。これは、日本の将来を左右しかねない重要な分岐点であり、その本質を冷静に見極める必要がある。

この連携を評価すべき最大のポイントは、言うまでもなく「憲法改正」という我々の悲願達成に向けた大きな一歩となる可能性である。

自民党と公明党だけでは、衆参両院で改憲発議に必要な3分の2の議席には届かない。これまで国民民主党との連携が模索されてきたが、党内事情も複雑で、常に不安定な協力関係であった。そこへ、改憲に前向きな姿勢を明確に示してきた維新の会が加わるとなれば、話は大きく変わる。まさに「改憲勢力」が確固たる多数を形成し、長年停滞してきた議論を現実的に前進させるための、またとない好機が到来したと言えるだろう。

安全保障環境が日に日に厳しさを増す中、自衛隊の明記をはじめとする憲法改正は、もはや一刻の猶予も許されない国家的な課題である。この大義のためであれば、多少の政策的な違いには目をつぶり、大同につくべきだという意見は、保守として十分に理解できるものである。

また、「政策本位」で是々非々の対応を掲げる維新の会は、ともすれば「反対のための反対」に終始しがちな立憲民主党などの野党とは一線を画す。建設的な議論が可能なパートナーとして、国会運営を安定させ、重要法案の成立を円滑に進める上でも、この連携は国益に資すると言えるだろう。

しかし、手放しでこの連携を礼賛することはできない。我々は、その裏に潜むリスクにも目を向けなければならない。

第一に、維新の会の本質である。彼らが掲げる「身を切る改革」は、一見すると国民の喝采を浴びやすいポピュリズム的な側面を色濃く持つ。その改革手法は、時に国家の伝統や長期的な安定性を軽視しかねない危うさをはらんでいる。自民党が長年かけて築き上げてきた保守本流の政策思想が、維新の会の急進的な改革論に引きずられ、その本質が歪められてしまう危険はないだろうか。

第二に、今回の接近が「理念」ではなく「取引」の産物である可能性だ。一部で囁かれるように、これが大阪・関西万博への協力や、特定の選挙区における候補者調整といった、目先の利益交換の結果であるならば、断じて許されるべきではない。憲法改正という国家百年の計が、刹那的な政局の道具に成り下がってしまう。それは、我々が目指す真の保守の道とは相容れない。

自民党、特に岸田政権が、自身の求心力の低下を補うために、安易に維新にすり寄っているのだとすれば、それもまた問題である。本来、与党第一党たる自民党が、どっしりと国家の軸を定め、必要な協力を野党に求めるのが筋であろう。軸足が定まらないまま他党との連携に活路を見出そうとする姿勢は、むしろ政権の弱さの露呈に他ならない。

結論として、今回の自民・維新の接近は「諸刃の剣」である。

憲法改正という大義を実現するための歴史的な好機であると同時に、保守の理念を揺るがしかねない危険な賭けでもある。我々保守派は、この動きを歓迎しつつも、決して楽観視してはならない。

今後、この連携が、真に国家の将来を見据えた「政策連合」へと昇華していくのか。それとも、互いの利益のみを追求する「野合」に終わるのか。その一点を、我々は厳しく注視し続けなければならない。国益に適うと判断すれば力強く後押しし、道を誤ると見れば断固として声を上げる。それこそが、今、我々に課せられた責務である。

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