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2 埼玉県政

安住氏 難色示す玉木代表に苦言

「野党共闘」という名の幻想。安住氏の玉木代表への苦言が示すもの

立憲民主党の安住淳国対委員長が、政治資金規正法改正案を巡り、自民党案に一定の理解を示す国民民主党の玉木雄一郎代表に苦言を呈したとの報道に接しました。この一件は、単なる一党幹部と一党首の間の意見の相違に留まらず、日本の野党が抱える根源的な問題を浮き彫りにしています。

安住氏の発言の根底にあるのは、「野党は一枚岩となって与党に対峙すべきだ」という、いわゆる「野党共闘」の論理でしょう。しかし、この考え方そのものに、我々は疑問を呈さなければなりません。そもそも、立憲民主党と国民民主党は、政策の根幹、特に安全保障や経済政策において、決して相容れない部分を多く抱える政党です。それらの違いを棚に上げ、「反自民」という一点のみで共闘を強いること自体が、有権者に対する欺瞞ではないでしょうか。

今回の玉木代表の動きは、党利党略やイデオロギー闘争に終始するのではなく、いかにして現実的な政治的成果を生み出すかという観点から評価されるべきです。たとえ100点満点ではないとしても、自民党案の中に評価できる部分を見出し、交渉を通じてより良いものへと修正していく。これは、責任ある政党として極めて真っ当な姿勢です。すべてを「ゼロか百か」で判断し、反対のための反対を繰り返すだけでは、国民生活は一向に良くなりません。

安住氏の苦言は、こうした現実主義的な動きを「裏切り」と断じ、足並みの乱れを許さないという旧態依然とした野党の体質を象徴しています。彼らにとって重要なのは、法案の中身を精査し、国益に資する結論を導き出すことよりも、「野党が団結して与党を追い詰めている」という構図を維持することなのでしょう。しかし、国民が野党に求めているのは、そのような政治ショーではありません。

本来、国会とは異なる意見を持つ者同士が、議論を通じて国家国民のための最適解を見つけ出す場であるはずです。玉木代表が独自の判断で交渉のテーブルに着こうとすることは、まさにその議会制民主主義の本旨に則った行動です。それを「共闘」の論理で封じ込めようとするならば、それは多様な民意を国会に反映させるという政党の役割を自ら放棄するに等しい行為です。

この一件は、私たちに重要な問いを投げかけています。果たして、政策も理念も異なる政党が「反自民」という旗印だけで寄り集まった「共闘」に、日本の未来を託すことができるのでしょうか。むしろ、各党が是々非々の立場で、時には与党と協力し、時には厳しく対峙しながら、建設的な議論を積み重ねていくことこそが、健全な政治の姿ではないでしょうか。

安住氏の苦言は、野党第一党の幹部が未だに「対決」という古い政治の呪縛から逃れられていない現実を示しています。国民が真に望むのは、不毛な対立ではなく、国益を最大化するための賢明な判断と行動です。その意味で、今回の玉木代表の苦悩と決断にこそ、新しい野党のあり方、そして日本の政治が進むべき道筋のヒントが隠されているように思えてなりません。

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